モノマガのオジサン編集部員が、夜行列車でアコガレの尾瀬に行ってきた! 初めての尾瀬・ハイキングリポート


思い立ったら夜行列車で尾瀬ハイキング!

「ハイキングといえば尾瀬だよ」

編集長の一言で決まったこの企画。実は「♪夏が来れば思い出す〜」の歌い出しで知られる唱歌でも有名な尾瀬には一度行ってみたいと思っていた。調べると東武鉄道の「尾瀬夜行」が、6月〜10月まで、金曜日もしくは土曜日の夜に浅草駅出発で運行しており、しかも翌日の夕方には戻って来くることができるという。これって仕事終わりに尾瀬に行けるじゃん! というわけで編集部のオジサンふたりとカメラマンの3名で行ってきました、天上の楽園〝尾瀬〞に。

夜行列車自体に乗るのが初めてなので、ワクワク感が止まらない。聞けば本日(6月取材時)の夜行は尾瀬への登山客で満席だとか。23時45分、定刻通りに出発。1時に消灯となり、ひと眠りすれば会津高原尾瀬口駅に深夜3時8分に到着する。ここから5時発の専用バスに乗り換えて、尾瀬の玄関口・尾瀬沼山峠に向かうわけだが、バス出発までの2時間は電車内で待機できるというから助かる。

うっすらと夜が明けてきたところで、いよいよ専用バスに乗車。その途端に爆睡する3名。約2時間後には尾瀬沼山峠に到着した。

尾瀬といえば、代表的な景観として知られているのが尾瀬ヶ原と尾瀬沼。標高1400mに位置する尾瀬ヶ原は日本最大の湿原で、春(5月中旬〜6月下旬)には木道沿いでミズバショウを眺めることができる。

標高1665mに位置する尾瀬沼は、燧ヶ岳(ひうちがたけ)の噴火によりできた沼。尾瀬沼の東岸にある大江湿原では、夏(7月中旬〜下旬)になるとニッコウキスゲの群生が満開になる。

今回はほぼ日帰りなので、尾瀬沼周辺を散策するという超初心者コースにした。山小屋で1泊すれば、周囲約9㎞の尾瀬沼を1周(約2時間30分)したり、一ノ瀬休憩所(往復約2時間)までハイキングしたりできるので、のんびり尾瀬沼(夕暮れ時が最高だとか)で過ごすのもいいかもしれない。

写真でよく見るあの風景が⁉
そこは天上の楽園であった。

朝7時、沼山峠にバスが到着。ここには無料休憩所があり、朝から多くの登山客でにぎわっていた。ここから登山道に入り、大江湿原、そして尾瀬沼までの約3㎞をトレッキングする。天気はカメラマンが重度の雨男で心配したが見事に快晴。気温は15度ぐらいで、長袖の山シャツで充分だった。「わ、山のにおいだ」と友井編集部員。そよぐ風は実にさわやかで思わず深呼吸。登山道は整備されており、非常に歩きやすい。ピークの展望台まではけっこうな登りで、思わず息切れしてしまう。日ごろの運動不足がここで顔を出す。

展望台を過ぎるとあとは緩やかな下りでラクラク。しばらく歩くと目の前に大江湿原が現れた。どこまでも続く木道、そして傍らに咲くミズバショウ。遠くには尾瀬沼が見え、どこからかウグイスの鳴き声が……おお、これぞ尾瀬! 取材時はミズバショウが終わりの時期であったが、7月上旬ともなれば、黄色いニッコウキスゲの群生が満開になるという。唱歌「夏の思い出」が昭和24年(1949年)にヒットするまで、尾瀬の花といえばニッコウキスゲだったそうだ。

湿原の風景を満喫しつつ、木道を歩くとついに尾瀬沼に到着。そこはまさに天上の楽園であった。青い空にゆっくり動く白い雲。緑に萌える草花、遠くには、残雪の燧ヶ岳を望み、清らかな尾瀬沼の湖面にその山容が映っている。なんて美しい風景なんだ! と一同感動。まさに写真で見た尾瀬そのままの絶景だ。

まずは尾瀬沼ビジターセンターに寄ってみる。2021年にリニューアルオープンして展示物も刷新。実物標本や模型、写真、図表など、より視覚的、立体的に尾瀬の成り立ちや生息する動植物ついて学べるようになった。定期的にスライドショーやイベントも開催されるそうだ。しばらく見入っていると、「尾瀬の風景を見ながらコーヒーでも飲みませんか」という友井編集部員の提案があり、営業している山小屋へと足を向ける。

自然が広がる尾瀬だが、休憩所や山小屋が多く、意外と飲食には困らない(しかし、行動食と水は必携)。尾瀬沼周辺では、尾瀬ビジターセンター横の「長蔵小屋売店(ビジター売店)」がオススメ。取材時はまだ営業していなかったが、尾瀬の湧き水で入れたコーヒーが名物だとか。

もう1カ所「長蔵小屋」の別館1階のカフェが営業していたので、そちらで休息することに。店内にはグランドピアノが置かれており、よい雰囲気。晴れていたので屋外の席で、淹れたてのコーヒーを味わった。実にうまいコーヒーだったが、他の客が食べているカレーが気になってしかたがない。「こっちにすればよかった」と友井編集部員が悔やむが後の祭り。三平下まで往復すると、もう下山時刻が迫っていた……。

帰りの専用バスに揺られて、会津高原尾瀬口駅に着いたのは14時30分。駅に併設されている土産物屋兼食堂の「憩の家」で、電車の出発まで遅い昼食。尾瀬ハイキングの打ち上げと称して、ビールに冷たいかき揚げそばを堪能した。心地よい疲労感、そして五臓六腑に染み渡るビール。オジサンのハイキングのだいご味はこの瞬間にあるのだ。

尾瀬には、初心者から上級者向けまで、様々なハイキングコースがあり、一度行っただけでは、その全貌をつかむことができない。また、季節ごとにさまざまな表情を見せてくれるので、何度もリピートしたくなる場所だと思う。

今回は「思い立ったら尾瀬」ということで夜行列車のプランだったが、山小屋に1泊するプランでゆっくりと特別な時間を過ごすのもいいかもしれない。

問い合わせ:東武トップツアーズ「東武の尾瀬」

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