菊池雅之のミリタリーレポート 新部隊の初お披露目! 湯布院駐屯地創立記念行事


6月1日、湯布院駐屯地にて、駐屯地開設68周年及び第2特科団創設記念行事が執り行われました。

注目は、2024年3月に新編された第2特科団の初お披露目の場となったことです。前身となった部隊は、西部方面特科隊です(詳しくはコチラ)。第2特科団は、西部方面特科隊時代に引き続き、湯布院駐屯地に本部を置くことになりました。

湯布院駐屯地は、温泉地として有名な大分県由布市湯布院町にあります。インバウンド効果もあり、駅を降りると外国人観光客が目につきます。街は活気で溢れており、ただ道を歩いているだけでも、目に入るお店や楽しそうな観光客の笑顔に癒されます。そんな駅前通りを15分ほど歩くと、湯布院駐屯地へとたどり着きます。

駐屯地の敷地面積は、広い方ではありません…というよりも小さい部類に入ります。しかしながら、西日本最大規模を誇る日出生台演習場や十文字原演習場を管理するなど、西部方面隊としては非常に重要な駐屯地です。駐屯地司令は第2特科団長が兼務しています。

2024年3月21日、駐屯地の本部前グランドにおいて、隊旗授与式を行い、第2特科団として新たなスタートを切りました。初代第2特科団長となられたのは伊藤久史陸将補です。最後の西部方面特科隊長であり、そのままスライドしました。その際に1等陸佐より陸将補へと昇進しました。

その門出の日には、多くの関係者等も招かれましたが、一般市民に対する公開は、今回取り上げる湯布院駐屯地記念行事が初めてとなりました。

記念行事のプログラムは決まっており、どこの駐屯地記念行事も基本的に観閲行進と訓練展示の2部構成で行われます。これは湯布院駐屯地も同様です。

まずは、第2特科団長が観閲台に立ち、その前を各部隊が威風堂々たる行進をしていきます。本来、湯布院駐屯地には、第2特科団の隷下部隊のうち、本部及び本部中隊、第301多連装ロケット中隊しかおりませんが、この日は、第5地対艦ミサイル連隊(本部:健軍駐屯地)や第7地対艦ミサイル連隊(本部:勝連分屯地)、西部方面特科連隊(本部:北熊本駐屯地)もやってきてともに行進しました。

また、水陸機動団特科大隊等、第2特科団以外の駐屯地所在部隊も行進していきました。

その後は訓練展示となります。島嶼防衛という想定で、第2特科団を中心に侵攻してくる敵に対して戦いを繰り広げていきます。第1戦闘ヘリコプター隊のAH-64アパッチや第42即応機動連隊の16式機動戦闘車なども参加し、とても迫力のある内容となっていました。

第2特科団は、まだまだ拡大していきます。

2025年3月末より第8地対艦ミサイル連隊が新編され、連隊本部は湯布院駐屯地に置かれます。すでに手狭な駐屯地であるにもかかわらず、いきなり連隊規模の大きな部隊が新編されるのですから、受け入れるには駐屯地を広げるしかありません。ひとまず、今回記念行事が行われたグランドに仮の本部隊舎が出来る予定であり、現在は駐屯地に隣接する土地の購入交渉も進んでいるそうです。

来年度には、さらに大きく生まれ変わった湯布院駐屯地が誕生します。今から楽しみですね。

  • 軍事フォトジャーナリスト.。1975年東京生まれ。日本写真芸術専門学校卒業。講談社フライデー編集部専属カメラマンを経て軍事フォトジャーナリストとなる。主として自衛隊をはじめとして各国軍を取材。また最近では危機管理をテーマに警察や海保、消防等の取材もこなす。夕刊フジ「最新国防ファイル」(産経新聞社)、EX大衆「自衛隊最前線レポート」(双葉社)等、新聞や雑誌に連載を持つなど数多くの記事を執筆。そのほか、「ビートたけしのTVタックル」「週刊安全保障」「国際政治ch」等、TV・ラジオ・ネット放送・イベントへの出演も行う。アニメ「東京マグニチュード8.0」「エヴァンゲリオン」等監修も行う。写真集「陸自男子」(コスミック出版)、著書「なぜ自衛隊だけが人を救えるのか」(潮書房光人新社)「試練と感動の遠洋航海」(かや書房) 「がんばれ女性自衛官」 (イカロス出版)、カレンダー「真・陸海空自衛隊」、他出版物も多数手がける。YouTubeにて「KIKU CHANNEL」を開設し、軍事情報を発信中
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