インディアン・スカウトが10年ぶりの全面刷新で正常進化!


7月11日にTREX KAWASAKI(神奈川県川崎市)で行われたAll New Scoutシリーズのジャパンプレミア。US本社からインターナショナルヴァイスプレジデントのグラント・ベスター氏(中)、デザイン部門のディレクターであるオラ・ステネガルド氏(右)、プロダクトマネージャーのカイル・ゲーデ氏(左)の3名も来場した。

そのすべてを10年ぶりに刷新したインディアン・モーターサイクルの『スカウト』。各種メディアが大挙して押し寄せたジャパンプレミアでは、US本社から来場したV.I.P.がプレゼンテーションを行って新型スカウトの“正常進化”ぶりを熱くアピールした。

写真は5種類のラインナップを誇るスカウトファミリーのなかで頂点に位置する『101スカウト(ワン・オー・ワン スカウト)』。スカウトならではのアイコニックなデザインや動力性能はもとより、クラストップレベルの優れた足つき性や取り回しのしやすさにも配慮したミドルサイズのアメリカンクルーザーだ。

ベテランにもビギナーにも愛されるインディアン・スカウト

5つのシリーズ(スカウト、FTR、クルーザー、バガー、ツーリング)で27モデル(限定コラボモデルを含む)という幅広い選択肢も大きな魅力となっているインディアン・モーターサイクルの商品ラインナップ。

今回発表された新型スカウトはアメリカ初のモーターサイクルカンパニーとして築いてきた100年以上にわたるインディアン・モーターサイクルの歴史に、またひとつ大きな足跡を残すモデルといえるのではないだろうか。

先述の5つのシリーズのなかで全体の約40%にのぼるセールスを記録しているスカウト。加えて、「初めて乗るバイクがスカウト」というユーザーも28%を占めているのだとか。

要するに、スカウトは経験値のあるベテランライダーだけでなく、経験の浅いビギナーにも支持されるインディアン・モーターサイクルの基幹モデルというわけだ。

そんな背景もあって、インディアン・モーターサイクルの新型スカウトに対する力の入れ具合は相当なもので、それはグラント・ベスター氏が語った次のコメントにも表れていた。

「当社のビジネス規模は過去5年間で2倍にまで成長を遂げました。

現在、85ヵ国に600(そのうち350以上が米国外)を超えるディーラーがあり、新型スカウトでは新たなシェアを獲得していきたいと思っています。

われわれにとってはビジネスの拡大も重要なことですが、それ以上にコミュニティを成長させていくことも非常に重要だと捉えていて、新型スカウトはそれを牽引する役割も担っていると考えています。

そんな新型スカウトの開発にあたっては、もともと良かった商品をさらに大きく改善させて“より良くする”ということが非常に大きな挑戦になりました」

「インディアン・モーターサイクルではバイクをつくるだけでなく、お客様と一緒に成長していくことが重要だと考えていますが、現在はディーラーのみならず、カスタマイズする方々を含めてグローバル市場で成長を続けています」とグラント・ベスター氏は語る。

デザインで重要なのは第一印象・第二印象・第三印象の3つ

「もともと良かった商品をさらに大きく改善させて“より良くする”ということが非常に大きな挑戦になりました」というベスタ―氏の言葉を受けて登壇したのが、デザイン部門のディレクターであるオラ・ステネガルド氏。

ここからは、新型スカウトの具体的なデザイン上のポイントを見ていくが、ステネガルド氏はプレゼンテーションの冒頭で次のように語った。

「なるべくシンプルに留めること。そして、きれいにすっきりした状態に留めること。これこそが新型スカウトのデザインにおけるポイントであり、第一印象・第二印象・第三印象をきちんと仕上げることですべてが仕上がった完成されたモーターサイクルになると考えました。そのうえで最初に手をつけたのがエンジンです」

「新型スカウトをつくる新プロジェクトが立ち上がったとき、“これは一筋縄ではいかない。新たな挑戦になるな”と感じました」とプロジェクト発足当初に感じた身の引き締まる思いも口にしたオラ・ステネガルド氏。

「新型スカウトのデザインを進めるうえで、われわれがどのような顧客層を想定したのかというとスカウトそのものはもちろん、カスタムについても理解してくださっている方々です。

カスタムしやすさという点でスカウトが高い評価を得てきたことは100年以上の歴史のなかで証明されていますので、そこはわれわれもこだわらなければなりませんでした。

今回のプロジェクトを進めるにあたってはディーラーだけに留まらず、ユーザーにも取材・インタビュー・調査をし、かつカスタムショップやカスタムビルダーにも意見をうかがいましたが、その結果を見たとき、われわれが考えていたことは間違ってはいなかったという確信をもちました。

すべてを刷新したスカウトはそのDNAを継承しつつも各所で最適化を行い、先代モデルを超えられるように各部の設計を行いましたが、まずどこから手を付けたかというと……それはエンジンです。

新型スカウトのエンジンは外観・見た目だけでなく中身も完全な新設計となりますが、われわれが重視したのは先代のエンジンと比較してより機械的な印象を与えながらも、より技術的な仕上げによるカスタムのしやすさでした。

その結果、パフォーマンスだけでなく、単体をそのまま美術館に飾ることができるほどのすばらしいエンジンに仕上げることができたと自負しています」

水冷4ストロークDOHC4バルブ60度Vツインを踏襲する新型スカウトのエンジンは、従来モデルの1130㏄から1250㏄へと拡大。最高出力は約17%アップ、最大トルクも約12%アップさせつつフラットな出力特性を実現。また、スリッパー&アシストクラッチを新たに採用したことで操作に必要な力を低減し、長時間のライディングにおいても快適さを提供。

「エンジンが決まったら、それをベースにして次に車体に手をつけていきました。

われわれが真っ先に重視したのは、バイクを見たときの第一印象でした。たとえば、遠くからバイクを見たとき、それが“インディアンだな”とか“スカウトだな”とか、すぐさま認識できるようにシンプルなごく少数のラインでいかにそれを再現できるかを目指しました。

また、この第一印象を正しく伝えるには骨格をしっかりつくり込む必要がありましたのでフレームも新設計としていますが、メインフレームをアルミ製ではなくスチール製にしたことも特長のひとつです。

スチール製のメインフレームを採用したのはカスタムユーザーからのフィードバックによるものですが、われわれは現在においても伝統的で古典的なスチール製のメインフレームが通用すると信じています」

インディアン・モーターサイクルの特長であるネック下からエンジン下方につながるIndian Sラインをはじめ、Vツインエンジンを誇示するV字ライン、タンクからリアサスペションにつながるシャープなライン、前後フェンダーの滑らかな弧を描くラインでスカウト独自のアイコニックなデザインスタイルを形成。

新型スカウトではメインフレームにスチール製に使用するいっぽう、ミッドおよびリアフレームは軽量化と自由度の高いフレームワークを可能にするアルミダイキャストが採用されている。

「第二印象はボディ(外装)です。エッジーなのか? スポーティなのか? 古典的なのか? というふうに、外装によってバイクのキャラクターや性格を印象づけることができますが、新型スカウトでは1940年代から1960年代に登場したアメリカンクラシックカーを想像しました。

なぜなら、その表現が非常に美しいと感じたからです。これを再現するには自動車用のフレーム技術が必要でタンク・フェンダー・シートに至る外装はすべて新設計・新デザインとしました。

全体的には非常にシンプルに見えますが、その表現においてはさまざまなラインを形成することで魂を込めたデザインにまとめることができたと自負しています。

そして、3つめのポイントとなる第三印象はバイクに近づいてまじまじと各部を見たときに何が見えるのか? というディテールや仕上げが重要となりますが、冒頭でも説明したように、ここまでお話した第一印象、第二印象、第三印象をすべてきちんと仕上げることで完成されたモーターサイクルになるのです」

スケッチから始まって3Dにデータ化し、そのうえで社内の職人がクレイモデルを制作する工程を経て組み上げられた新型スカウトのモックアップ。「新型スカウトを見れば仕上げの良さに加えて、インディアン・モーターサイクルのクラフトマンシップも感じ取っていただけると思います」とステネガルド氏は語る。

カスタムの自由度を高める100種類にものぼるアクセサリー

今回発表された新型スカウトはフラッグシップの『101スカウト』を筆頭に『スーパースカウト』、『スカウトクラシック』、『スポーツスカウト』、『スカウトボバー』という5つのモデルで構成され、装備の違いによって“スタンダード”、“リミテッド”、“リミテッド+テック”の3つのグレードに大別される。

今回のジャパンプレミアで最後に登壇したプロダクトマネージャーのカイル・ゲーデ氏は、「じつは10年ほど前に101というアイデアを使いたいと考えていましたが、当時はそれに相応しいベースが存在しませんでした。しかし、珠玉の名車としてモーターサイクル史に輝く101スカウトが現代に蘇り、それを皆さんに本日発表できて非常にうれしく思っています」と語るいっぽう、「スカウトファミリーの5つのモデルはわれわれのセグメントのなかでもっとも強力で、もっとも競争力の強いラインナップです」と自信も覗かせた。

カイル・ゲーデ氏は「新型スカウトでは“スタイルをきちんとつくること”、“ライダーが使いやすくて触りやすいこと”、“最終的にライダーとマシンが一体化するための技術をきちんと搭載して正常進化をさせること”が大きなテーマになりました」と語った。

1920年にリリースが開始されたスカウト。今回発表された101スカウトは1928年から1931年の3年間のみ製造された101スカウトをオマージュしたものだが、ジャパンプレミアでは1928年製の貴重なモデルも展示された。

「象徴的なアメリカンスタイルをはじめ、低めのシート高、車体自体の軽量化、30を超える人間工学に基づいたライディングポジション、完全新設計のエンジン、初心者には使いやすくてベテランにも納得していただけるライディングモードなど、新型スカウトの特長は枚挙に暇がありません。

加えて、豊富なアクセサリーも特長のひとつで新型スカウトでは新たに70種類のアクセサリーを開発するとともに、従来モデルから30種類のアクセサリーもキャリーオーバーしています。

また、新型スカウト用アクセサリーのうち、30種類以上はライディングポジションなどに関わるハンドルバー、シート、フットペグなどエルゴノミクス関連商品で構成され、40種類以上はドライビングライトやサスペンションなど快適性を高めるコンフォート関連商品で構成れていますので、ライディングポジションや快適性など、ご自身の身体やスタイルにあわせて愛車を最適化することもできるのです」

アナタならどれを選ぶ? スカウトファミリーのラインナップ

以上のように、US本社のキーマン3名による熱いプレゼンテーションが行われた新型スカウトのジャパンプレミア。

3名が語った新型スカウトの特長はそのほんの一部であり、より詳しい内容については同社のWEBサイトやSNSにてチェックいただきたい。最後にスカウトファミリーの5モデルを紹介するが、アナタのお眼鏡に叶う1台はどれ?

101スカウト
車両本体価格268万円

1250㏄の排気量から111hpを発揮する新開発スピードプラス水冷Vツインエンジンをはじめ、調整機構を備えた倒立フロントフォーク&ピギーバック式リアショック、ブレンボ製デュアルディスクブレーキ、カラークォーターフェアリングなど、ハイスピード性能を主張するプレミアムコンポーネントを満載。

スーパースカウト
車両本体価格241万円

サイドバッグ、ウインドシールド、パッセンジャーピリオン、ワイヤーホイールを標準装備。スカウト史上最大サイズのツーリング用サドルバッグは余裕の収納力を備え、クイックプルタブで開閉もイージー。ウインドシールドも外観を変えたり、風を感じたいときに一瞬で着脱できるクイックリリース式を採用。

スカウトクラシック
車両本体価格201万円~228万5000円

歴代モデルにインスパイアされた佇まいに、現代のライダーがアメリカンクルーザーに求める要素を満載したスカウトクラシック。光り輝くクロームワイヤーホイールが時代を超越した正統派スタイルに花を添えるだけでなく、美しいペイントや高品質なクロームパーツなども注目を集めるディテールといえよう。

スポーツスカウト
車両本体価格202万円~224万5000円

歴史にインスパイアされながら、現代のニーズに沿って開発されたスポーツスカウト。スマートなスタイリングにロングライド時の機能性や快適性を融合したソロスポーツシート、カスタムルックを演出するクォーターフェアリング、見た目の迫力を倍増させる19インチフロントホイールも標準装備となる。

スカウトボバー
車両本体価格196万円~223万5000円

アイコニックなボバースタイルを徹底して体現し、挑戦的なスタンスと荒々しいパワーで周囲を威圧するスカウトボバー。隅々までブラックアウトされたその威容がクラシックボバー独特のバイブスを強烈に放つ。フロント120mm、リア51mmのスラムドサスペンションもカスタム感に満ちたロースタンスを実現。

(問)ポラリスジャパン
Facebook
Instagram
Twitter
YouTube

関連記事一覧