対談を始める前、永瀬は料理を作る林さんを撮影。林さんが立ち働く自然な動きの中には「撮りたい瞬間」がいくつもあったという。カウンターでは、慎重にアングルを選びながら魚をおろす姿を撮り、次に厨房で感性の赴くままにシャッターを切った。
撮影:永瀬正敏
撮影:永瀬正敏
いい芋焼酎には贅沢な芋の甘みがある
永瀬 どうですか、「一刻者」の味わいは。
林 おいしいです。芋の甘みがしっかりあって、香りも本当に重層的ですよね。麹まで芋から造っていると聞いて驚きました。
永瀬 アンバサダーとしては、うれしい感想ですね。芋が持っているポテンシャルを最大限に引き出すには麹から、ということらしいです。
林 麹は和食にとって非常に重要な食材です。お酒も調味料も、麹が変わると味が変わります。だから、麹まで芋で造るという発想は料理人的だと思いました。技術的にとても難しかったんじゃないでしょうか。
永瀬 6年間かけて、ようやく芋麹が完成したと聞いています。
林 そうですよね。やはり、そこが味わいにしっかり反映されていますね。
栄えあるアメリカのコンペティションで最高金賞を獲得
永瀬 実は「一刻者」は、アメリカの「SFWSC2024※」というコンペティションの焼酎部門で、最高金賞を受賞しました。獲りたくてもなかなか獲れない名誉ある賞です。
(※サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション2024。米国最大の酒類コンペティションで、今年は世界中から5,500以上の製品がエントリー。)
林 それは、おめでとうございます。
「一刻者」のどんなところが評価されたんですか?
永瀬 具体的な評価基準は明かされていないそうです。林さんが先ほどおっしゃったように、香りの奥深さや味のバランスへの評価だとは思いますが…。
林 素晴らしいです。「一刻者」には、贅沢な芋の甘みがありながら、ほんのりとした苦みも感じます。これが、味わいにおいてとても重要な役割を持っています。苦みが味わいに含まれることで、複雑でおいしくて、飲み飽きないという部分につながっていると思います。
芋の甘みを味わう、至福の時
永瀬 「てのしま」でも芋焼酎を出されているとか。
林 そうですね。麦焼酎、米焼酎も置いていますが、芋焼酎が一番人気です。品質の良い芋焼酎がもっている香りや甘みが、皆さんに好まれていると思います。
その点で、「一刻者」は純粋に飲むだけでもおいしいのですが、贅沢な芋の甘みの中にも複雑味みたいなものもあるので、お料理と合わせても非常にいいお酒です。
永瀬 林さんは、どんなシチュエーションで「一刻者」を飲みたいですか?
林 実は、一人でお酒は飲まないんですよ。やっぱり誰かと飲みたくて。なので、食中に「一刻者」を飲みますね。最初よりも、食事の中盤から後半にかけて飲むイメージです。
永瀬 なるほど。僕はひとつの仕事が終わって、次の仕事への準備期間に、自分へのご褒美として「一人で飲むのは最高だなぁ」と思いながら楽しんでいますね。
林 その準備期間中には、メンタルを整えたりしていらっしゃるんですか?
永瀬 準備期間は修業期間でもあるので、監督もしくは脚本家のオリジナル作品であれば、彼らとの打ち合わせでヒントをいただいて、自分の中でイメージをふくらませます。実際にモデルの方がいたり、原作があったりするとまた違うアプローチになります。
ただ、現場へ行く時は、一度頭の中を真っ白にして、フラットな気持ちで臨みたいですね。自分の頭の中だけで作ったものをもっていっても、相手の方もいらっしゃるし、監督の世界もあります。作品に関わる役者やスタッフ全員の小さな宇宙が集まって銀河系になっているのが映画だと思うので、自分ひとりで考えすぎると反応が悪くなってしまう。僕は現場で、相手のリアクションを楽しみたい気持ちがあるんですよ。キャッチボールをするように。
林 なるほど。あまり作り込みすぎずに、撮影に臨むのがいいんですね。そういう考え方は、昔と今では変わってきましたか?
永瀬 変わりましたね。30代くらいまでは、今思えばヘナチョコでした(笑)。
最後に、林さんが「今日は良いお酒だった」と思うのは、どんな時ですか?
林 一緒にいる仲間と良い時間を共有できて、未来に向けて建設的な明るい話ができた時、でしょうか。
永瀬 確かにそうですね。僕も、皆でワイワイ楽しむのも好きです。
今日は密度の濃い時間を過ごせました。ありがとうございました。
🔸プロフィール
■永瀬正敏(ながせまさとし)
俳優・写真家。1966年生まれ、宮崎県出身。1983年に俳優としてデビュー。写真家としても国内外で多くの個展を開き、これまで9冊の写真集を発表。2018年、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。2021年5月、宝酒造の全量芋焼酎「一刻者」アンバサダーに就任。
■林亮平(はやしりょうへい)
日本料理店「てのしま」店主。1976年香川県丸亀市生まれ、岡山県玉野市育ち。大学卒業後、京都の老舗料亭で経験を積み、20以上の国や地域で和食を普及するためのイベントにも携わる。2018年、東京・南青山に「てのしま」を開業し、国内外から高い評価を得ている。父の故郷である香川県手島の再興を目指し、夫婦で取り組んでいる。
全量芋焼酎 一刻者
南九州産のさつまいもを100%使用し、芋麹を使って仕込んだ本格芋焼酎。良質な芋麹が実現した、芋本来の甘い香りと、すっきりとした上品な味わいが特長の芋焼酎を作り上げている。
2022 SFWSC特別金賞受賞、2023 ISC金賞受賞。
アルコール分:25%
容量:720㎖
参考小売価格:1681円(税込)
*お酒は20歳を過ぎてから。ストップ飲酒運転。妊娠中や授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に悪影響を与えるおそれがあります。お酒は楽しく適量を。のんだあとはリサイクル。
宝ホールディングス お客様相談室
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