視閲式は、県民と警察の交流の場。普段はなかなか近くでお目にかかる機会の少ない警察官とも触れ合える。
私たちの安心・安全を守るため、パトロールしたり、犯罪が発生すれば緊急走行したりと、街を疾走するパトカー。
街を歩いていると、1日に1回は必ず見かける存在ですが、実は、撮影するとなるとなかなか難しいものです。というのも、職務中であれば、警察官の邪魔になってはいけませんし、そのようなタイミングでは、場合によっては、撮影を咎められるかもしれません。交番前に置いてあるパトカーを写真撮影していたら、職務質問された、なんて書き込みもSNSで度々目にします。
そこで、注目したいのが、パトカーや警察官を堂々と撮影できる「視閲式」です。これは、毎年、警察本部単位で開催しており、自治体の長や本部長に対して、警察官らが、日頃の訓練の成果を見せる行事です。多くの警察本部で一般公開されていますが、中には非公開で執り行う、または、そもそも開催しないケースなどもあります。
地域警察をはじめとして数多く配備されている白黒クラウンパトカーの行進。これに続いて、真っ黒の警護車バージョンのクラウンも行進。
開催時期は、ほとんどが年始に行っております。「年頭視閲式」との名称で、仕事始めの儀式として行われるケースが多いです。また、「年頭部隊出動訓練」や「年頭点検」といった異なる名称で行う警察本部もありますが、内容はほぼ同じです。
公開するのであれば、目的はズバリ広報のため。パトカーの運転席に座ったり、白バイに跨らせてもらえたりと、大サービスしてくれるので、ご家族連れには最高なのではないでしょうか。
女性白バイ隊員がまたがるのはホンダCB1300。同車種は全国に配備されている。
ですが、雪国などでは、積雪に伴い、真冬に式典を行うことが難しいので、季節をずらして行われるケースがあります。
今回取り上げる新潟県警もそのひとつです。雪深い新潟県では、年頭行事としての視閲式は実施しておりません。今年度は、2024年6月8日に開催しました。県のホームページやSNSでも事前告知され、会場となる新潟県警庁舎及び県庁前には、実に多くの県民やパトカーマニアが集まりました。今回は、新潟県警の視閲式を通じて、この式典がどのようなものがご紹介したいと思います。
レア車種、三菱GTOパトカー。前期型を配備しているのは新潟県警のみ。1994年配備なので、30年選手。
視閲式の式次第としては、「観閲行進」と「訓練展示」の2部構成が基本です。順番が前後したり、「訓練展示」を省いたりする警察本部もありますが、新潟県警につきましては、この順番で両方実施しました。
まずは徒歩行進から始まり、パトカーや機動隊車両の行進が行われます。新潟県警では、もはや絶滅危惧種となった、三菱GTOのパトカーを配備しています。しかもフェンダーミラーの前期型です。それもそのはず、配備されたのは1994年のこと。愛知県警でもGTOはまだ配備されていますが、ドアミラーの後期型。このパトカーを見るために、新潟県警視閲式を訪れる方も毎年多いです。
そしてパトカーと言えば定番のクラウンは、地域部仕様の白黒からSP仕様の黒まで、色や任務の異なるクラウンをいろいろ見ることができました。白バイは、ホンダのCB1300が行進しました。
滝澤本部長による訓示。全国でも数少ない女性警察本部長だ。
この行進を観閲するのは、新潟県警本部長・滝澤依子警視監です。滝澤本部長は、茨城県警捜査二課長、栃木県警警務部長、滋賀県警本部長といった要職を経て、大規模警察本部である新潟県警本部長に抜擢されました。女性警察官僚で、ここまで昇りつめるのは非常に珍しいです。
そして「訓練展示」へ。ここでは機動隊の訓練、そしてヘリを使った救助訓練と続きます。
機動隊による訓練展示が行われた。盾を使ったフォーメーションを披露。
すべてが終了すると、県庁前にて、「ふれあい広場」として、パトカーや白バイが並べられました。警察官が横に付き、細かく解説してくれます。警察車両の詳細は、ほとんど公表されていないので、非常に貴重な機会。ボンネットも開けてエンジンも見せてくれました。
このように警察を身近に感じられる場である「視閲式」。みなさんも是非、お近くの警察本部で行われる「視閲式」を訪れて見てはいかがでしょうか?
新潟県警ヘリ「はるかぜ」を使った救助訓練の様子。