いったい何がウケてるの? 快進撃を続ける『晴れ風』のヒミツを聞きにキリンビール本社に行ってきた!

キリンビールから4月2日に発売された『キリンビール 晴れ風』。スタンダードビール※1としては17年ぶりの新ブランドということもあり、当初から注目度が高かったとはいえ、なんと販売数量が発売から約1カ月で、キリンビール過去15年のビール類新商品で最大の売り上げを達成したという。いったい何がウケているのだろうか? この大ヒットのヒミツを探るべく、キリンビール マーケティング部ビール類カテゴリー戦略担当の小澤啓介さんに話を聞いてみた!

※1: プレミアム・クラフト・販売先限定品・既存ブランド派生品を除く

「飲みごたえ」と「さわやかな飲みやすさ」の両立を目指した絶妙な味のバランス

——快進撃を続けている『晴れ風』ですが、いまの販売状況を教えて下さい。

小澤 販売数量は発売から7月までの3カ月で年間の目標の7割となる300万ケースを突破しておりまして、年間販売目標を当初の予定の1.3倍、約550万ケース※2へ上方修正しています。日ごろビールを飲んでいないお客様にも購入していただいているので、ビール市場全体を盛り上げるビールになってきていると思います。

※2:大びん換算

——すごい数字ですね! 日ごろビールをあまり飲まない層が購入しているとのことですが、その理由とは?

小澤 いちばんの理由は味だと思います。ビールをあまり飲まないお客様の声を聞いていくと、若い方は「ビールは苦い、飲みづらい」、年長の方は「年齢とともにビールが重くなってきた」という声が多かったです。そこで、『晴れ風』は「ビールのうまみや飲みごたえ」がありながら「さわやかな飲みやすさ」の両立を目指しました。

——どんな反響がありましたか?

小澤 大きくふたつありまして、ビール好きの方からは「飲みごたえがあって、ちゃんとビールとして楽しめる」。ビールを飲まない方からは「いままでビールを飲めなかったけど、爽やかで飲みやすくて『晴れ風』だったら飲める」といった声を頂戴しています。

——「さわやかさ」もありつつ、ビールとしての「うま味」や「飲みごたえ」を感じられるビールって相反していますよね、両立するのは難しかったのでは?

小澤 そうですね、難しかったです。中味開発部隊と一緒に、かなりがんばりました。まず素材ですが、ホップと水と麦芽100%にこだわりました。シンプルに麦芽のうま味と飲みごたえを引き出すデコクション製法(麦汁を煮出す製法)を採用しています。さらにさわやかさを出すために希少ホップの「IBUKI」(日本産)を使っています。ホップを添加するタイミングで香りの広がり方が変わってくるので、変に後味に残らない、かといって弱すぎない香りを目指して絶妙なタイミングを探りました。

マーケティング部ビール類カテゴリー戦略担当の小澤啓介さん。週に3~4回は飲むという。もちろんビール党。

——個人的に仕事が終わって、ふろ上がりにひと缶飲むのですが、最近は『晴れ風』を飲むことが多いですね。お世辞じゃないですが(笑)、飲み飽きないというか、クセになるというか。リピート率が高いです。

小澤 自分も最近では『晴れ風』ばかりです(笑)。味を決めるまでに、かなりの数のサンプルを試醸して、「飲みごたえ」と「飲みやすさ」の絶妙なバランスを探り当てていくのが大変でした。

——ウイスキーはウイスキーブレンダーが味を決めるのですが、『晴れ風』の場合はどうやって決めたのですか?

小澤 基本的には私たち開発チームとマスターブリュワーの田山智広に入ってもらい、お客様調査の結果も踏まえて「コレだね!」と決めました。いちばん大事なのは、『晴れ風』の商品コンセプトを体現する味になっているか、どうかです。

——最初から『晴れ風』というネーミングは決まっていたのですか?

小澤 晴れた空の下で、風に吹かれながら気持ちよくの飲めるビールということで、開発がスタートしたのですが、ネーミングの決定とビールの開発はほぼ同時進行でした。

『晴れ風』の缶のパッケージは何色? カラーリングのヒミツとは!?

——大きく目を引くのが、缶のパッケージのカラーリングです。キリンビールにしてはチャレンジングな色だと思うのですが?

小澤 「晴れ風」という直感的にさわやかな感じや気持ちよさをイメージできる色って何だろうと探していくうちに出てきたのが「ターコイズ」でした。店頭でちゃんとお客様の目にとまる色なのはもちろんなのですが、ただ目立つだけだとビールとしての信頼感に結びつかない……実はこのターコイズにはマット加工が施されているのです。新しい色なのですが、落ち着いた感じを出しています。

——差し色のゴールドとの相性もバッチリですね。

小澤 色以外の要素はビールの王道のデザインにしています。意外かもしれませんが、『キリンラガー』や『一番搾り』と共通する部分もあります。

ターコイズという一見目を引くカラーリングだが、文字やイラストの要素は王道のビールデザインを踏襲している部分もある。

——しかし、「晴れ風」というネーミングも絶妙ですね。完成された時はどんなお気持ちでしたでしょうか?

小澤 世の中に新しいブランドを出すのが初めての経験だったので、発売日までは「本当に買ってくれるのかな」という不安の方が大きかったです。発売日に店頭に私たちも応援に行ったのですが、並べているそばから買っていただけたのを見て、けっこう「ジーン」ときました。

——このまま、新しい定番になりそうですね。

小澤 新商品としての目新しさだけではなく、今後、定番ビールになるように私たちもがんばっていきたいと思っています。秋晴れのさわやかな日やおめでたいハレの席に飲んでいただきたいですね。キリンらしさもあり、新しい驚きもありますよ。

「晴れ風ACTION」の第一弾のテーマは「桜」。現在、第二弾として「花火」への支援を行っている

『晴れ風』を飲んで日本の風物詩を応援しよう!

——缶についているQRコードは何ですか?

小澤 「晴れ風ACTION」といって、『晴れ風』の売上の一部が桜や花火といった日本の風物詩を保全・継承する活動に寄付されるというもで、『晴れ風』を買っていただくだけで自動的に寄付ができるというものです。また缶についているQRコードを読み取っていただくと、専用のサイトに行けるようになっています。そこで「晴れ風コイン」を取得して、各自治体へ寄付ができるのです。

——なるほど、確かに季節の風物詩の横には常にビールがありますよね。

小澤 ビールは季節ごとの風物詩に大変お世話になっていまして……しかし今、少子高齢化、資金不足などの理由で、慣れ親しんだ「日本の風物詩」が中止になったり、消失の危機にさらされています。そこで今度はビールからの恩返しをしたいということで、「晴れ風ACTION」をスタートしました。この取り組みは、長期的な取り組みとして続けていきたいと考えています。

——インタビューを終えて——
将来的には、ぜひ『晴れ風』の生ビールも飲んでみたい! と思うモノマガでした。キリンビールさん、よろしくお願いいたします。

晴れ風ブランドサイト
晴れ風ACTION

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