「おにぎり特集」でコメントを寄せてくれたみなみなさまの内のひとり、ジムニー専門店APIOの河野社長のテキストが実は掲載文の5倍くらいあったので、モノ・マガジンWEBで完全版を披露しようじゃないかという目論見です。河野社長によるイラストも初公開の描き下ろしですよ!
イラストと文/河野 仁(ジムニー専門店APIO社長)
子供の頃からおにぎりがあればいいという人生を送ってきた私。まだ世の中におにぎり専門店がない頃からおにぎり屋さんをやりたいと思ったほどですが、ここ数年での印象深いおにぎり三選は、よく行く藤沢・宗平の湯豆腐からの豚シャブ、そしてお粥に到達してからの最後にシメでお願いするおにぎりがまさに別腹。
これまた新宿の日本酒専門居酒屋りきまるにて、メニューにはないけども無理矢理最後に作ってもらった魚の出汁が効いたおにぎりが絶品。
そして都内に仕事で出た時はかなりの確率で有楽町パスポートセンターの入っている地下のおにぎり屋さんmaimaiさんにピットイン。ここのおにぎりや他の小鉢セットのランチは全ての食材がこだわり抜いていておいしく元気になります。
コメ、炊き方、α化までの事。自炊時代、海苔についてもパリパリの焼き海苔おにぎりは王道ですが、高校生から20代に至るまでいろいろな女性におにぎりを懇願して食べたあの海苔がシナっとご飯に同化しているおにぎりも最高ですね。
おにぎりの形状も色々ありますが、いずれにせよおにぎりの構造力学を考えると力をかけるのは外板部分に相当する部分に力を入れるけれども、内部にはほとんど無力感を感じるほどのソフトな結合性をイメージしながら握るのがコツ。天然塩を十分に溶かした塩水を手につけて握ったおにぎりはすでにそれだけで究極の状態だけどもそこへ追い討ちをかけるが如く有明海で育った一番摘みの焼き海苔を必ずコンロで一度炙ってから巻けば至福の食。
形状的には俵形もおにぎりのカタチ。広義に捉えると大好きな崎陽軒シウマイ弁当に入っているごはんもおにぎりと位置付けるなら他のおかずとの名演奏を奏でる実力集団8人組と言えるでしょう。
さて編集長から突然、おにぎりの事書いて欲しいと無茶振りの翌日、恵比寿を歩いているとなんと仕事関係の旧友に再会。しかも彼女を紹介しますと言って登場したのは、あの有名な鰹節伝道師かつおちゃん! 削りたての鰹節ほど鮮度と美味しさ、香りが連動する具材はないので夢のおにぎりは、かつおちゃんが削った削りたての鰹節を使って彼女が握ったおにぎりではないでしょうか?
APIOでは横濱帆布鞄とのコラボカバンも多数リリースしている。