ドイツ空軍のユーロファイターが北海道の空を飛んだ!まさかドイツ空軍をはじめとしたNATO各国の空軍が立て続けに来日する日が来るなんて思いもしなかった。
2024年の夏、日本へとドイツ空軍及びフランス航空宇宙軍、スペイン航空宇宙軍の3か国空軍がやって来ました。
この3カ国は、6月から8月末までの間、「パシフィック・スカイズ24」と銘打った大遠征を実施しました。名称の通り、インド太平洋地域への展開を主たる目的とした訓練であり、それぞれの国を飛び立ったあと、戦闘機や輸送機で北米、オーストラリア、ハワイ、そして日本等を巡りました。ただ世界地図をなぞるだけでなく、訪問先では、それぞれの空軍と親善訪問や共同訓練、多国間演習を行っていきました。
ドイツ空軍からは輸送機A-400Mもやって来た。翼の下には空中給油用燃料タンクをぶら下げていた。
7月19日、フランス空軍は航空自衛隊百里基地(茨城県)へ、ドイツ及びスペイン空軍は千歳基地(北海道)へとそれぞれ降り立ちました。
スペイン及びフランス空軍は、すぐに次の寄港地へと飛び立ちましたが、ドイツ空軍については、7月22日から25日の間、日独共同訓練「ニッポン・スカイズ24」を実施しました。日本から第2航空団のF-15戦闘機4機と、ドイツからユーロファイターEF-2000戦闘機3機、A400M輸送機2機等が参加しました。
ドイツ空軍とは、2022年9月の初来日の際、親善を目的とした訓練を実施しましたが、今回は戦術技量の向上を目指した初の本格的な訓練となりました。これまでもドイツ陸軍と陸上自衛隊、ドイツ海軍と海上自衛隊の間において、本格的な訓練は行われており、これにようやく、空軍も加わった形です。
空自側のF-15に「パシフィック・スカイズ24」の特別塗装を施した機体も登場。
23日に行われた日独交流行事にて、ドイツ空軍総監ゲルハルツ中将は、「次は是非航空自衛隊の戦闘機もドイツに来て欲しい」とラブコールを送りました。どうやら次は、空自の戦闘機がドイツへと渡り訓練することはほぼ決まったようです。
訓練期間中ほぼ毎日、各種戦術訓練が行われました。また、日独物品役務相互提供協定(ACSA)発効後に初めて適用された訓練となったこともあり、早速、日本側の燃料がドイツ空軍へと提供されました。
ドイツ空軍とともにやって来たこの空中給油機KC-135は、実は民間軍事会社であるメトレア社の機体。同社は空中給油を専門とする。
空自側は、今回の訓練に向けて、“スペマ”こと、スペシャルマーキングの特別塗装機を用意しており、こちらも訓練に参加しました。当然、外柵沿いには、これらスペマ機をはじめ、ユーロファイター見たさの熱心な飛行機ファンが訪れ、連日混雑していました。
7月25日には、ゲルハルツ中将はユーロファイターに、航空幕僚長・内倉浩昭空将はF-15に、それぞれ乗り込み、編隊飛行を実施し、日独の親密さを世界にアピールしました。
離陸に向けて、タキシング中のドイツ空軍のユーロファイター。
こうして訓練は無事終了。
ドイツ空軍の次の目的地はハワイです。
26日午前中、各機は、予定通り千歳基地を離陸していきました。そして、約10時間をかけてオアフ島にあるパールハーバー統合基地ヒッカムへと到着しました。
「自由で開かれたインド太平洋」を具体化するため、とうとうNATOも本腰を入れて活動を行う事になりました。これも中国による覇権主義的海洋進出が加速度的に進み、もはや太平洋だけでなく、世界の脅威となりつつあるからです。
今後、ヨーロッパ各国の空軍が、日本に立ち寄り、そしてともに訓練する機会は増えていくことでしょう。
千歳基地へと着陸するドイツ空軍ユーロファイター。垂直尾翼には「パシフィック・スカイズ24」のマークが貼られていた。