
21世紀のディオゲネスクラブなのか、ここは? 実は新宿の……。
ベイカーストリート221Bと言えばホームズ&ワトソンの所番地として知られ、それはいわゆるロンドンのアイコン的ワードでもあります。そんな名前を冠したアパレルが始動とのことで、河田町の小笠原伯爵邸へ!
写真と文/モノ・マガジン編集部
ベイカー・ストリートといえばホームズであり、三陽商会といえば1946年に防空暗幕を用いて作った紳士用の黒いレインコート! というのはモノ・マガジン読者ならご存じのヒストリー。ここを出発点に、数々の革新的なコートを世に出すことで総合アパレルメーカーとして成長してきた三陽商会が、約5年ぶりとなるメンズ新ライン「ベイカー・ストリート(BAKER STREET)」を始動させます。


「ベイカー・ストリートは本物志向の大人向けブランドとして2025年春夏から販売予定で、英国のこだわり、現代性、遊び心をテーマに、30~50代男性に訴求します」とは、今回展示会を案内いただいた三陽商会ブランドマーケティング担当の兼清優羽さん。優しい羽と書いて、ゆう、と読みます。おきれいな名前です。ちなみに、男性です。

三陽商会マーケティング・コミュニケーション部宣伝・販促第二課課長の兼清優羽さん。
さて今回の展示会、まずその場所が凄い。新宿河田町の小笠原伯爵邸です。河田町と言えばお台場に移る前のフジテレビの町として、小笠原伯爵邸はこの地域の名所として知られます。昭和2年竣工のこの館は現在、レストラン、式場、イベントホールなどとして良好な状態を保っています。今回ベイカー・ストリートは、この歴史をまとった建築物でお披露目されたわけです。

小笠原伯爵邸。昭和2年竣工のスパニッシュ様式の歴史的建造物です。
もしかしたらそのブランド名から、ホームズ時代(1900年前後)のスタイルを展開するブランドだと思う人がいるかも知れませんが、いやいや、さすがにヴィクトリア朝ではありません。ホームズ役を演じた俳優で喩えるなら、ジェレミー・ブレットではなく、ベネディクト・カンバーバッチ演じるシャーロックがお似合いでしょう。
シャツ、パンツ、コートほか服飾小物も展開します。いずれも、英国伝統の重厚さより、フットワークのよい軽やかさを感じさせます。発売が2月で2025春夏戦線に投入となりますから、まずは製品染めのシャツ類、柄物シャツから注目を集めそうです。

逆光で透かし見ると、なお彩りが際立つ混紡の長袖シャツ。

モノマガ的にはM65戦闘服から触発されたジャケットやベスト、軽めのマウンパなど、ギア的なアイテムに興味を惹かれました。いずれも製品染めです。
ちなみにアイコンとも言うべきディテールは「BAKER STREET TARTAN」です。これはそれぞれ異なる個性をもつロンドンのシーンに触発されてデザインされた5色使いのタータンチェック。ちょっとロンドンチューブの路線図やタウンマップのように見えませんか?

さて冒頭から「ベイカー・ストリートがデビュー!」と書いてきましたが、実はこれ、1975~2003年まで販売していたブランド名です。かつての「ベイカー・ストリート」とテーマやコンセプトは同様ながら、より刷新されたアイテムが揃います。また、ライセンス契約が終了する「ザ・スコッチハウス」に代わる新ブランドでもあります。

ロゴはロンドンの夜明け前の空の色をイメージした”BAKER BLUE”を使用。
「紳士服市場はカジュアル化が進んでおり、百貨店の紳士服ゾーンではカジュアルウエアも縮小傾向にあります。高いブランド力が求められる中ですが、三陽商会ではベイカー・ストリートに注力して参ります!」とチカラコブの兼清さんでした。
2025年春。君もベイカー・ストリートをまとって、ロンドンっ子を気取ってみませんか?

ベイカーストリート店舗イメージ。ちなみに什器もカッコイイのでお知らせしておきます。