「正しさ」を信じるな。【本モノReview:第2回】

[編集部より]
「本好き」「本読み」じゃない人たちにも、実はあなたが興味のある情報がこの本に入っているんですよ、ということを伝えるため、その本の出版に携わった方に「この本はこんなにおもしろいんだ!」という熱のこもったテキストを寄稿いただいてます。そういう感じのブックレビューです。第2回はSBクリエイティブの小倉碧さんに『「わかりやすさ」を疑え』という本のレビューをしていただきました。帯の「表面的な「正しさ」に騙されるな。」というフレーズにグッときます。

[先に編集部の感想のようなモノ]
著者の誠実さ     → うんと伝わってきます!
調べようと思う気持ち → わいてきます!
鵜呑みにする怖さ   → ぞくぞくしますよ!

それでは、「本モノReview」をお楽しみください。

第2回

「正しさ」を信じるな。

文/小倉碧(SB新書副編集長)

『「わかりやすさ」を疑え』は、現代社会における情報の受け取り方や判断の仕方について綴られた一冊だ。著者であるニッポン放送アナウンサー・飯田浩司氏が、長年の報道経験にもとづき、情報の受け手はどのようにすれば真実を見極められるのかを語る。

本書は、ニュースやオピニオンが「正しい意見」として報じられることが多い現代において、安易にレッテルを張ったり、善悪二元論で物事を捉えたりすることの危険性を指摘する。

「就職氷河期世代は老害」

「神宮外苑再開発は歴史・文化の破壊」

「円安は国力低下の証拠」

といった「レッテル張り」は、
現実に起こっている出来事の「一面」を切り取ったにすぎないのである。

そのような中飯田氏は読者に対して、一次資料を自分で確認することの重要性を強調する。情報過多の現代においては、陰謀論やフェイクニュースに騙されないためのリテラシーが必要であると説く。情報の波の中から「玉」を見つけ出すためには、主体的に一時情報を取りに行く姿勢、自らの判断力を養う姿勢が求められるのだ。

飯田氏の語る「正しい」情報との向き合い方は、私たちが日々接するニュースやオピニオンに対して、より批判的かつ冷静な視点を持つための指針となるだろう。「自分の意見」をしっかりと持つために、是非とも参考にしていただきたい。

【書名】「わかりやすさ」を疑え
【著者名】飯田浩司(いいだ・こうじ)
【定価】本体950円+税
【版元名】SBクリエイティブ株式会社

【著者のプロフィール】
ニッポン放送アナウンサー。1981(昭和56)年神奈川県出身。横浜国立大学経営学部卒業後、ニッポン放送に入社。「ザ・ボイス そこまで言うか!」アンカーマンを経て、2018年からニュース番組「飯田浩司のOK! Cozy up!」(月~金曜・午前6時~)のキャスター。著書に『「反権力」は正義ですか』(新潮新書)がある。

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