第2回 新行市佳のイチから特撮! 福岡・特撮の旅!

ニッポン放送アナウンサーで、放送業界一とも言われる超・特撮ファン、新行市佳さんが書き下ろし連載でmonoマガジンWebに降臨!

テーマはもちろん「特撮」。イチバン好きな特撮をイチから十まで語ります。毎月2日と16日の更新をお楽しみに!

今回は、新行さん、回転ジェットで西へ飛ぶ・・?

「聖地巡礼」

ここ最近では、ファンがアニメや映画、ドラマなどで舞台となった場所を訪れることを表す言葉として使われていますね。

私も聖地巡礼の旅へよく出かけます。

なんとなく観光地に行くよりも、自分の好きな作品にゆかりがある場所を巡った方がより思い出深い旅行になると感じているからです。

「聖地」は、「作品の世界」と「自分たちがいるこちらの世界」の架け橋だと思うんですよね。

実際に現地へ行くと、大好きな作品の世界の住人になれたような気がして嬉しい気持ちになります。

さて、私はこの9月に数々の特撮作品の舞台となっている福岡を訪ねました。

福岡タワー

『ゴジラVSスペースゴジラ』(1994年)の最終決戦の地である福岡タワーに登り、『空の大怪獣 ラドン』(1956年)でラドンが襲来するシーンでお馴染みの岩田屋本館は、現在は福岡PARCOに改装されていますが、もちろん足を運びました。

岩田屋本館の面影を残す福岡PARCO。2026年に取り壊し予定。

福岡PARCO(旧岩田屋)へ行くと、「危険生物展」が開催されていました。屋上に佇むモンハナシャコのビジュアル。「もしや、ラドンのオマージュなのでは?」と思ってしまいました。「危険生物展」も満喫!

福岡PARCOを目に焼き付けた後は、古賀市立歴史資料館で開催されていた『井上泰幸のセカイ展』へ。

古賀市出身の特撮美術監督である井上泰幸さんの軌跡が展示されていて、井上さんが手掛けられた『空の大怪獣 ラドン』の岩田屋のロケハン写真やスケッチ、ロケハン時に使用した道具などの貴重な資料がありました。

岩田屋のミニチュアセットとロケハン写真の比較をしているパネルがありましたが、どちらがミニチュアでどちらがロケハン写真か見分けがつかず、いかに細部までこだわって「本物を作ろうとしたか」がひしひしと伝わってきました。

「岩田屋」ミニチュアの復元模型。この再現セットの図面を、三池敏夫さんが手掛けられ、『特撮美術監督 三池敏夫の仕事』(後述)には、その詳細についても書かれています。バックの空は、背景画の巨匠・島倉二千六さん。会場にいらっしゃった方が「子供の頃によく岩田屋に連れていってもらったんだよ。懐かしい。」と話してくださったのも印象に残っています。

そして、忘れてはいけないのが「みずほPayPayドーム福岡」

今シーズン、パ・リーグ優勝を果たした福岡ソフトバンクホークスの本拠地ですが、『ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995年)でガメラとギャオスが初対面した重要な場所でもあります(※当時の名称は、福岡ドーム)。

みずほPayPayドーム福岡

開閉式の屋根を採用していて、同じ大きさ・形の3枚の屋根の内、2枚が左右へ旋回移動することで開閉できるようになっており、『ガメラ 大怪獣空中決戦』では、自衛隊が福岡ドームの屋根を利用してギャオスを捕獲する作戦を実施するものの、そこにガメラが現れる…という物語前半の見せ場として登場します。

『ガメラ 大怪獣空中決戦』の舞台となったみずほPayPayドーム福岡に来られて感動している様子

私が福岡に滞在している期間に野球の試合はなかったので、「ドームツアー」という内部を見学できるツアーに参加しました。

グラウンドに降りた瞬間、「自衛隊がここにギャオスをおびき寄せようと餌を置いていたのか!」と大興奮。

見上げると、ガメラが姿を見せる屋根があるではありませんか。

開閉式の屋根

「あの隙間からこちらを見下ろしてくるんだなぁ。」と名場面を脳内再生。

これがその名場面!ガメラが福岡ドームの屋根の隙間から顔を覗かせ、破壊するシーン。
『ガメラ 大怪獣空中決戦』© KADOKAWA 日本テレビ 博報堂DYメディアパートナーズ/1995

3塁側のベンチにも入らせて頂いて、気分は(中山忍さん演じる)長峰!

ベンチに入り、「気分は(中山忍さん演じる)長峰!」な一枚

ツアー参加者の大半がソフトバンクファンの方々だった中、異様な盛り上がり方をしてしまいました。(あくまで節度をもって、心の中で大フィーバーしていました。)

旅を終えてから、日本の特撮美術を支え続けていらっしゃる三池敏夫さんのご著書『特撮美術監督 三池敏夫の仕事』を読みました。

この本には、これまで三池さんが携わった作品の当時のミニチュアの設計図などがまとめられていて、『ガメラ 大怪獣空中決戦』における福岡ドームについての記載もありました。

実際のグラウンドや屋根をどのようにミニチュアに落とし込んで作ったのか…みずほPayPayドーム福岡に行ったことで、その着眼点や工夫について深く理解できたような気がしています。

大好きな作品の世界に浸る至福の時間。

さあ、あなたも聖地巡礼の旅に出てみませんか。

DOME TOUR(みずほPayPayドーム福岡)

『ガメラ 大怪獣空中決戦 4Kデジタル修復 Ultra HD Blu-ray 【HDR版】』
価格:8580円(税込)
発売・販売元:KADOKAWA
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『特撮美術監督 三池敏夫の仕事』
 三池 敏夫 著
 判型:A4判
 定価:5489円 (税込)
 出版社:竹書房
 詳細はコチラ

Profile
新行市佳 (しんぎょう・いちか)

ニッポン放送アナウンサー。
1992年東京都生まれ秋田県育ち。 2015年ニッポン放送に入社。
現在は朝のニュース番組『飯田浩司のOK!Cozy up!』(月~金・6時~8時)と『藤井貴彦 Saturday Night Buzz』(土・19時~21時)でアシスタントを担当。
大の特撮好きであり、ニッポン放送と「ゴジラ」とのコラボ番組『ゴジラ|ニッポン放送70周年特別番組 幻のラジオドラマ復活!新春ゴジラ談義』や『山崎貴のオールナイトニッポンGOLD~ゴジラ|ニッポン放送70周年スペシャル~』でアシスタントを務めた。

ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!
月曜日~金曜日の6時から8時まで生放送!ニッポンと世界の今が分かる朝のニュース番組。パーソナリティは飯田浩司アナウンサー。アシスタントは新行市佳アナウンサー。radiko、ポッドキャストでも聴ける。

【次回予告】

「新行市佳のイチから特撮!」第3回は12月2日(月)に公開!(通常2日と16日の月2回アップ)。特撮愛が溢れて止まらない、アツい連載を見逃すな‼

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