風光明媚な鹿児島・垂水みやげは桜島の火山灰缶詰『ハイ!どうぞ‼︎』

出張や旅行先で購入するおみやげはセンスが問われるもの。誰もが思い浮かべる定番や地名が入ったクッキーやせんべいなど無難なものもいいけれど、せっかくならひとひねり加えたものを届けたい。今回は桜島と錦江湾を擁する鹿児島・垂水市の知る人ぞ知るロングセラーみやげ『ハイ!どうぞ!!』を紹介しよう。

垂水市民の嫌われ者・桜島の降灰を集めて缶詰に

鹿児島県の中央部にある大隈半島の北西部に位置する垂水市。雄大な桜島を囲む、錦江湾を中心にした南北37kmの海岸線が印象的な風光明媚な街だ。令和3年には桜島・錦江湾ジオパークとして認定され、観光はもちろんのことインゲンやキヌサヤ・ビワの栽培、漁業では特にカンパチやブリの養殖盛んに行われグルメも充実。また、地名のとおり水資源が豊富で飲む温泉水が特産品になっている。

そんな垂水市の隠れた名物といえば、毎日のように降り注がれている桜島の火山灰。これを缶詰にパックしたものが市内の道の駅などで販売されているのだ!

「ハイ!どうぞ!!」価格100円は『道の駅たるみず湯っ足り館』、『道の駅 たるみずはまびら』、『山形屋1号館』で販売中。

桜島は2009年から活発化し降灰が増えつつあった。そんな折、垂水市役所庁内で行われた行革講演会で出されたアイデアをきっかけに「桜島」を題材とした「灰の缶詰」が誕生。2010年10月に限定1000個の試験販売をスタートして以来、15周年を迎えようとしているロングセラー商品なのだ。

市民にとっては害でしかない火山灰をどう面白く売るかがカギに

それにしても、日常生活や農水産物を脅かすモノを名物にしてしまおうという発想が面白い。発売元である垂水市水産商工観光課に話を聞いてみた。

垂水市役所屋上から見える桜島。地面にはうっすら灰が積もっている。毎日降灰予報をチェックするのが垂水市民の日課だ。

「我々にとって火山灰は見慣れたもので、これが売れるか疑問はありました。しかしながら、市民は様々な場面で火山灰の被害を受けており、本缶はそんな実情を知っていただくためのひとつの手段でもあります。このような状況でも明るく、ユーモアを交えてPRできる商品にするため大変苦労しました」

パッケージの原料名には「桜島の降灰、垂水市民の苦悩」、内容量には「ありがたくない、空からの恵み100g」とユーモアたっぷり。笑っちゃいけないけど、皮肉を織り交ぜた表現にプププッ。

降灰により、洗濯物を外に干せず、晴天でも傘をさし、何度も洗車する、灰が詰まり雨どいが壊れるといった被害に悩まされているそうだ。

食べられないし、飾れない。だけど、パッケージに書かれているように「降灰体感」ができる唯一無二のおみやげだ。火山灰に触れたことがない筆者は興味津々。有害なイメージもあるが、大量摂取しなければ人体への影響は心配ないという。だが担当者によれば「思ったより粒子が細かいので缶を開けたときに目に入らないよう注意してください。とても痛いので」とのこと。

そんなことを聞けば、ゴーグルとマスクをしてプシュッとひと缶いってみたくなる『ハイ!どうぞ‼︎』。絶対に自分の分も買って来ようっと!

(問い合わせ先)社会福祉法人育友会 障害者支援施設城山学園
電話:0994-35-3000

  • 編集プロダクションに入社後独立してフリーライターとなる。グルメ、エンタメ、旅行あたりが主戦場ですが、知識も経験も広く浅く気が付けば四半世紀フリーの浮き草暮らし。ノンジャンル&フリースタイルで『面白いコト』に反応していきます。

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