ファッションモデル山下晃和の偏愛モノ図鑑106 老舗メーカーが作るレザーサドルが進化した天然ゴムのサドルでお尻が幸せに

BROOKS CAMBIUM SADDLE C17

ここ最近、都内の移動はE-bikeや自転車が圧倒的に流行中。11月には新たな法律が制定されたほど重要な交通手段だ。都内の電車移動も、南北移動の際は縦路線が少ないので案外不便。また、朝夕の通勤ラッシュの満員電車に乗り続けると疲弊してしまう。以前よりも進化したE-bikeは、坂道や長いキョリもよく走るから流行っているのかもしれない。冬のキーンと冷えた空気のなかの自転車はとても気持ちがいい!今回は、そんな自転車移動派には嬉しい、デイリーユースからキャンプツーリングまで幅広くお尻を守ってくれるBROOKSのCAMBIUM C17というサドルの偏愛ぷりを語りたい。

私は、BROOKS(ブルックス)のCAMBIUM C17(以下カンビウム)を愛している。なぜこれほどまでに惚れ込んだのか?

BROOKS ENGLAND(ブルックスイングランド)1866 年に始まった。驚くことに今から約150年以上の長い歴史がある。John Boultbee Brooks氏がイングランドのバーミンガムへと拠点を移し、革製品の製造事業を始めたことが起源。1878 年まで、Brooks氏はずっと馬に乗って通勤していたが、悲しいことに、ある朝に馬小屋に行ったときに馬が死んでいるところを発見。仕方なく、彼は友人の自転車を借りてバーミンガム市に向かったところ、その当時、空気入りタイヤはまだ発明されておらず、サドルが無垢材の木製だったため、快適とはほど遠いものに辟易してしまったのだとか。より良いものを作りたいという思いが沸き、レザー製のサイクリングサドルB17が誕生した。

革製サドルから新しい革命が起きたのがこちらのキャンバス地×天然ゴムのカンビウムC17SPECIALというモデル。

好きになったきっかけは、海外自転車旅のときの安心感から

そもそも、僕がこの革製のブルックスサドルが好きになったのは、今から15年以上前に世界中を自転車で旅していたころの相棒(REVOLVEのTravelerという車種)に付けていたからだ。何年間もかけて何万キロも走る過酷な海外自転車旅には、ナイロン製やポリエステル製のサドルだと持たないのもあるが、そもそもランドナーというフランス生まれ日本育ちの旅自転車にはクラシックな革サドルが定番だったというのも大きな理由のひとつ。

ただ自転車に乗って旅をするのであればMTBやグラベルバイクが良いのだが、その当時はそういった旅向けの自転車が日本には少なかったのと、ランドナーというトラディショナルな自転車に憧れがあったからだ。

ブルックスのサドルのおかげで、馴染むまではじめの1カ月はお尻が痛かったものの、その後はまったく痛みも疲れもなく、メキシコの首都メキシコシティからアルゼンチンの首都ブエノスアイレスまで走り切ることができた。ブルックスサドルB17SPECIALに心から感謝したい。

「On the Rivet」という言葉

ブルックスサドルを知っている自転車乗りたちの間では「On the rivet」という言葉があり、これらはブルックスのサドルのアイコンにもなっている手打ちの金属リベットの近辺に体重を乗せるという意味合いと、自転車競技の際は、前傾姿勢を取ることによって「全力で走る」「限界に挑む」と意味合いがあるとかないとか。また、ブルックスサドルにおいては、伝統的なデザインと挑戦を兼ね備えたブランド哲学になっているとかいないとか。

7年間の歳月をかけてカンビウムが誕生

2013年になると歴史が動いた。従来の革製のサドルだけでなく、カンビウムという天然ゴムとキャンバス地のタイプが誕生。革に変わるこちらの製品は、7年間の歳月をかけて開発されたそうだ。革製品は、革ならではの耐久性、乗れば乗るほど自分のお尻の形に馴染んでいき、乗った分だけ味が出るという良さもあるものの、雨や雪などの水分に弱く、濡れてしまうとたちまち重くなり、乾いたあとも早急にアフターケア(保革)をしないとひび割れなどが生じてしまう恐れもあった。そんな全ての悩みを快尻(カイケツ)否、解決し、ロングツーリングだけでなく、デイリーユースにも使えるタフなサドルがカンビウムなのだ!

正直、僕は何年間も革サドル愛好家だったので、はじめはこちらのカンビウムには懐疑的だった。革サドルよりも硬くて、なかなか馴染まないのではないかと思っていたが、初回から乗り心地が良かった。やや硬い分、ペダリングもしやすく、雨にも強く、想像をはるかに超える耐久性もある。僕の場合は、長時間のツーリングでもグラベルライドでもそれほどお尻が痛くなることもない。もし、体重がある方でも、パッド付きのサイクルパンツを履いておけば、より安心だろう。

長年カンビウムを愛用しているが、この生成りのような美しいカラーリング、手に触れたときのナチュラルな素材感、座った時の安心感、雨にも負けず、風にも負けず、過酷な環境に耐えうるボディに惚れ惚れしてくるのだった。ちなみに、スポーツサイクル用のカンビウムは、C13、C15、C17、C19と4種類あって、数字が大きいほどサドルの幅が広くなっていてコンフォートモデルとなる。(C67というアップライトなポジション向けの最もワイドなタイプもある)僕にとっては、じつはこれで二代目となるリピート。愛が深まっているのがお分かりいただけるだろう。

Hey!尻!が幸せだと全てが幸せ

このように、7年の期間を経て開発された長期使用を可能にしたカンビウムのサドルは、硬化天然ゴムとコットンキャンバスで、従来の革製ブルックスサドルの持つ伝統を受け継いだと言ってもいい。(とはいえ、革製品の風情も好き)独特の柔軟性を持ち、メンテナンスフリーで、防水加工の施されたサドルトップは自転車乗りのお尻に幸せを運んでくれたのだ。自転車通勤や通学で毎日乗る人、週末はグラベルライドやキャンプツーリングに出かけるアウトドアマン、ロングライドやロングツーリングのイベントに出る人などはお見尻おき……否、お見知りおきを!

BROOKS C17 SPECIAL

価格:2万7490円
仕様 
全長:283mm
幅:162mm
高さ:52mm
重量:415g(±5g)
MADE IN ITALY

ホームページはコチラ
商品ページコチラ

ファッションモデル山下晃和の偏愛モノ図鑑100
ファッションモデル山下晃和の偏愛モノ図鑑99
ファッションモデル山下晃和の偏愛モノ図鑑98
ファッションモデル山下晃和の偏愛モノ図鑑97
ファッションモデル山下晃和の偏愛モノ図鑑96

  • 本業はファッションモデル(タイクーンエージェンシー)。自転車、バイク、クルマで旅をしながら旅の素晴らしさや旅に最適なアイテムを紹介するトラベルライターとしても活動。地方自治体サイクルマップやWEBで連載ページを持つ。 趣味は、旅行、キャンプ、草野球、オフロードバイク、自転車全般(ロードバイク、MTB、ランドナー、小径車)、トライアスロン、トレイルランニング、登山、パックラフト、サーフィン、スニーカー収集、NEWERAキャップ収集、ウエイトトレーニング、読書、インドカレーの食べ歩き、MLB観戦など。  スポーツトレーナーの資格はNASM-PES、小型船舶一級免許、小型特殊船舶免許、大型自動二輪免許、JCTA認定自転車ツアーガイドなどを持つ資格マニアという一面も。かつて、海外30か国以上を自転車で旅したこともある放浪癖あり。好きなファブリックはキューベン、好きな金属はスカンジウム、好きな筋肉は三角筋。20代の頃は某アウトドアショップでバイトをしていた経験も。
  • http://akikazoo.net

関連記事一覧