おいしいガパオ作りを楽しみながらタイ食文化の真髄に迫る【本モノReview:第8回】

[編集部より]
「本好き」「本読み」じゃない人たちにも、実はあなたが興味のある情報がこの本に入っているんですよ、ということを伝えるため、その本の出版に携わった方に「この本はこんなにおもしろいんだ!」という熱のこもったテキストを寄稿いただいてます。そういう感じのブックレビューです。第8回は担当編集者のワダヨシさんに『ガパオ タイのおいしいハーブ炒め』という本のレビューをしていただきました。ガパオっておいしいですよね。だけど、おおむねの日本人が考えるガパオって、その実体の100万分の1くらいだったんですよ。この本は、ガパオって無限なんだってことを教えてくれます。

それでは、「本モノReview」をお楽しみください。

第8回

おいしいガパオ作りを楽しみながらタイ食文化の真髄に迫る

文/ワダヨシ(ferment books・編集者)

2024年12月、ユネスコ無形文化遺産に登録された「トムヤムクン」。世界三大スープのひとつとされるこのメニューが、ある意味タイ料理の「よそ行きの顔」ならば、「素顔」にあたるのが、タイ人のソウルフードで、日本人も大好きな「ガパオ」かもしれない。

ガパオの葉(ホーリーバジル)を使った香り高い炒め物である「ガパオ」は現地タイでもリバイバルブーム。首都バンコクでは「ワールド・ガパオ・タイランド・グランプリ」なるイベントが大々的に開催され、ガパオ専門店も盛況だ。ブームとともにアレンジガパオが多数登場する一方で「正統なるガパオ」をめぐる論争が起きるなど、グルメたちのガパオ愛が炸裂している。

そんな現地からの風をキャッチし、タイでのガパオ発祥とガパオ史、日本でのタイ料理ブームとガパオの普及を解説しつつ、

ガパオレシピを130種(!)掲載したのが本書。

なかでも編集者がおすすめするガパオを紹介しよう。

ガパオタレー(海鮮ガパオ)
ガパオは挽肉だけじゃない。現地では海鮮も定番。イカ、エビ、ムール貝など魚介類のガパオがうまい。

伝統ハーブガパオ
クミン、タイカルダモンなどのスパイスと、ガパオの葉の香りが重なるリッチな味わいの一品。

1968年のガパオ/1970年のガパオ
ガパオに入ったインゲン(ササゲ)は邪道か正統か?「ガパオ論争」両陣営それぞれの根拠となった歴史的レシピを再現。

ガパオチャーハン
ガパオ炒めをチャーハンにすると、また違ったおいしさに。タイ現地での定番メニュー。

ガパオTKG
ガパオと卵の相性は最高。ならば、卵かけごはんに醤油ではなくガパオソースを!

牡蠣のガパオ
著者オリジナルのガパオ。牡蠣の風味とガパオの香りがベストマッチ。

ガパオを知れば、タイ料理がわかる。そして、もっと好きになる。

「一種類の料理だけで一冊の本なんて酔狂!」と思うかもしれないけれど、ガパオを極めることでタイ料理の真髄に触れ、キッチンでの楽しさも倍増するよう編集された、楽しくて知的な刺激もある新視点のタイ料理本なのだ。

【書名】ガパオ タイのおいしいハーブ炒め
【著者】下関崇子
【定価】本体2,200円+税
【出版社名】ferment books

【著者のプロフィール】
タイ料理家。元プロキックボクサー&ムエタイ選手。日常的惣菜や、バンコクのコンビニやファストフードのメニュー、「トムヤムプリッツ」のような市販品など、独自視点のタイフード600 以上のレシピを『バンコク思い出ごはん~食べたい!タイ料理88レシピ』『暮らして恋したバンコクごはん〜タイ料理レシピコレクション』『バンコク空想移住  〜365日タイ料理 虎の巻レシピ』の3冊で紹介 。All About 毎日のタイ料理ガイド担当。日本エスニック協会アンバサダー。カルチャースクール等でムエタイレッスンも行う。

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