ニッポン放送アナウンサーで、放送業界一とも言われる超・特撮ファン、新行市佳さんが書き下ろし連載でモノ・マガジンWebに降臨!
テーマはもちろん「特撮」。イチバン好きな特撮をイチから十まで語ります。
第5回は、地中、海中、空中、南極、宇宙まで突き進む傑作特撮の二本立て!
あけましておめでとうございます。
年頭に際し、「新行市佳のイチから特撮!」の読者の皆様の益々の充実した特撮ライフをお祈り申し上げます。
本年もよろしくお願いします。
ということで!
早速、「特撮始め」にピッタリな話題をお送りしたいと思います。
「午前十時の映画祭」
作品選定委員によって選ばれた傑作映画が全国の映画館で1年間にわたって連続上映されるという企画です。
2025年3月27日まで開催の「午前十時の映画祭14」では、全27本を東京・TOHOシネマズ日本橋ほか全国65劇場で上映。4月4日からは「午前十時の映画祭15」が開催されます。
1月の作品は…なんと!
『海底軍艦』(1963年)と『妖星ゴラス』(1962年)
この2つの作品の4Kデジタルリマスター版を映画館で観られるなんて…!!
より鮮明になった色彩や質感を存分に味わうことができますね。
今回は、この2作品の個人的に好きなポイントを書き連ねていきます。
まずは『海底軍艦』
監督:本多猪四郎 特技監督:円谷英二 出演:高島忠夫、藤山陽子、小泉 博、田崎 潤 地中・海中・空中を自在に駆け巡る万能戦艦「轟天号」の活躍を描く、東宝SFの代表作。日本SF作家の草分け、押川春浪が1900年に発表した小説を基に、オリジナル脚本で映画化された。巨大ドリルが偉容を誇る轟天号の試運転シーンは、円谷特撮を伊福部昭の重厚壮大な音楽が盛り上げ、観る者を興奮の絶頂へと誘う。(午前十時の映画祭公式サイトより)
©TOHO CO., LTD.
世界征服を目論むムウ帝国の野望を阻止すべく、旧日本海軍が総力を挙げて秘密裏に開発した海底軍艦・轟天号が立ち向かう物語。
潜水艦と戦艦をあわせたようなデザインの「轟天号」
艦首のドリルに心が奪われた人類は私だけではないハズ。
ドックに水が溜められて発進する場面や水中から浮上するシーンのワクワク感、ムウ帝国の心臓部である動力室へ突撃する際にドリルで壁を突き破るところははたまりませんね。
ちなみに、私が「轟天号」を知ったきっかけは『ゴジラFINAL WARS』(2004年)でした。
『惑星大戦争』(1977年)が入口という方もいらっしゃるかと思います。
「特撮あるある」かもしれませんが、過去の作品に登場したメカや怪獣、ヒーローがゲスト出演すると、元の作品を知っている方にとっては懐かしく、知らない人にとってはその作品を観るきっかけになりますよね。
かの有名なムウ帝国の守護神である「マンダ」が轟天号に巻き付いて締め付ける場面も見逃してはいけません。
去年は辰年だったので、「2024年はマンダの年ですねー!」なんていう話を、朝のニュース番組『飯田浩司のOK!Cozy up!』に出演して頂いている評論家の宮崎哲弥さんとしていました。
時が経つのは早いものですね。
さあ!そして『妖星ゴラス』
監督:本多猪四郎 特技監督:円谷英二 出演:池部 良、白川由美、久保 明、水野久美 燃える妖星が地球に急接近!人類滅亡の危機を描くSFパニック・スペクタクル。同じ題材を扱った『ディープ・インパクト』(98)や『アルマゲドン』(98)とこの作品が異なる点は、衝突を回避するために地球自体の軌道を変えるという壮大なアイディア。南極大陸に建設される地球推進用ジェットパイプのミニチュア撮影は、特撮美術の粋を極めた名場面。(午前十時の映画祭公式サイトより)
©TOHO CO., LTD.
地球の6000倍の重力を持つ妖星ゴラスと地球との衝突を回避するために、世界各国が協力して南極に巨大なジェットパイプ基地を作り、40万キロ地球を移動させようとする…というお話。
あらすじだけでも胸が高鳴りませんか?
私は、この奇想天外な発想が大好きです。
南極基地の工事シーンを初めて見た時の感動は今でも覚えています。
土砂を運ぶブルドーザーやベルトコンベアー、鉄骨、足場…前代未聞の計画が遂行されていくドキドキ感と、地球を救うために昼夜問わず懸命に働いて基地を作ろうとする作業員の方々の気持ちまで感じられるような素晴らしいミニチュアが圧巻です。
台本上は5~6行くらいのシークエンスだったのを、特撮美術助手を担当していた井上泰幸さんの判断で東宝第8ステージいっぱいに飾り付けたそうで、渾身のミニチュアセットに特技監督の円谷英二さんも「やりすぎだ。」と言ったのだとか。
「まあ、これくらいで良いやっ!」と思わず、細部まで神経を研ぎ澄ませて物事と向き合うこと。
何事にも通ずるものがありますね。
今年の目標として、一つ一つにこだわって、より丁寧に、さらに気持ちを込めて放送に臨みたいなと思います。(話が反れました。)
ジェット噴射が稼働し始めたと思いきや、突如目覚めた南極怪獣のマグマによって基地の一部が破壊されるというハプニングも。
タイムロスが発生する中、果たしてゴラスとの衝突を回避できるのか…!?
昨今の混沌とした世界情勢からは「ありえない話」ではありますが、世界が一致団結してゴラスに挑む姿には胸が熱くなります。
「人類が残っている限り、無限の可能性があるんだ。」
最後のセリフからは、大きな脅威が過ぎ去った後の「復興」にかける思いも感じられるのではないでしょうか。
大スクリーンで観るのが楽しみな4Kリマスター版!
<グレーディング作業・ビフォー/アフター比較>
『海底軍艦』レストア前
修復前の画像。フィルムに目立つ傷やゴミがあり、色は淡く明暗が弱い。©TOHO CO., LTD.
『海底軍艦』レストア後
傷やゴミがきれいに除かれた。明暗のダイナミックレンジが広がりコントラストが増した。人物の顔色が瑞々しい明るさになり、衣装の白さや色が鮮明に。セットは艦船の金属的な質感が出た。©TOHO CO., LTD.
『妖星ゴラス』レストア前
「つぶし」と呼ばれる方法で撮影された疑似夜景シーン。褪色が著しく、グリーンを帯びて見える。明暗のコントラストが弱い。キズや汚れも目立つ。©TOHO CO., LTD.
『妖星ゴラス』レストア後
顔色や服の色がクリアで自然になり、黒は引き締まり、ハイライトは際立ち、夜の雰囲気がある鮮明な画面に。キズや汚れが消えて滑らかさのある映像になった。©TOHO CO., LTD.
『海底軍艦』、『妖星ゴラス』の上映劇場や上映期間についての詳細は、「午前十時の映画祭14」のホームページでご確認ください。
『妖星ゴラス』
【上映スケジュール】
1月3日(金)~16日(木) :グループA劇場
1月17日(金)~30日(木):グループB劇場
『海底軍艦』
【上映スケジュール】
1月3日(金)~16日(木):グループB劇場
1月17日(金)~30日(木):グループA劇場
※上映開始時間は<午前十時以外>もあります。
※上映開始時間・料金は劇場へ確認ください。
午前十時の映画祭公式サイト
詳細はこちら
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Profile
新行市佳 (しんぎょう・いちか)
ニッポン放送アナウンサー。
1992年東京都生まれ秋田県育ち。 2015年ニッポン放送に入社。
現在は朝のニュース番組『飯田浩司のOK!Cozy up!』(月~金・6時~8時)と『藤井貴彦 Saturday Night Buzz』(土・19時~21時)でアシスタントを担当。
大の特撮好きであり、ニッポン放送と「ゴジラ」とのコラボ番組『ゴジラ|ニッポン放送70周年特別番組 幻のラジオドラマ復活!新春ゴジラ談義』や『山崎貴のオールナイトニッポンGOLD~ゴジラ|ニッポン放送70周年スペシャル~』でアシスタントを務めた。
ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』
月曜日~金曜日の6時から8時まで生放送! ニッポンと世界の今が分かる朝のニュース番組。パーソナリティは飯田浩司アナウンサー。アシスタントは新行市佳アナウンサー。radiko、ポッドキャストでも聴ける。
ニッポン放送『藤井貴彦 Saturday Night Buzz』
好きな男性アナウンサーランキングで1位を獲得し、2024年春にフリーとなった藤井貴彦氏の初ラジオ番組! 毎週土曜日7時から9時放送中。街の情報やリスナーのお便り、自身のエピソードなどをもとに話すトークバラエティ。パートナーは新行市佳アナウンサー。
【次回予告】
「新行市佳のイチから特撮!」第6回は1月16日公開!(2日と16日の月2回アップ)。特撮愛が溢れて止まらない、アツい連載を見逃すな‼