ハンドメイドの技が冴える! SHINGOKUZUNO、10年の軌跡。

ハンドメイドデザイナー、葛野慎吾さん。ブランド「SHINGOKUZUNO」を立ち上げて10年を迎える。2024年11月27日〜12月1日、六本木のギャラリーで彼の手で作られたさまざまなアイテムを並べる展示会が開催された。これらのアイテムの一部を通して、10年の軌跡を振り返る。

葛野慎吾(くずのしんご)
2009年に独り立ちし、オーダーメイド職人として活動を開始。2013年にレザーウェアの製作に取り掛かり、2014年に発売。同年、ジュエリーの製作も開始。オーダーメイドとハイブランドのカスタムを主軸に展開し、最近はそれにシューズのカスタムも加わった。ラインナップが増えてきたのを機に海外展開を考えるようになったという。ちなみに後ろにあるのは愛車のハーレー。バリバリにカスタムされている。

【キーカバー】 価格6万6000円

レザーを一旦水に濡らして柔らかくし、ベンツのリモコンキーにぎゅっと押し当てて型をとり、ロゴやスイッチ部分をくり抜き、手縫いで仕上げている。レザーはヒマラヤクロコダイルで、腹部の真ん中が白く、脇に向けてグレーに変化する。染色や脱色の工程を一切行わず、自然の美しさをそのまま活かしているところに価値がある。その柄が雪解けのヒマラヤをイメージさせることから、ヒマラヤロコダイルと呼ばれるようになった。選別基準が厳格で生産量が極端に少なく、希少性が高いため、クロコダイルレザーの中でも特に高級素材として扱われている。

【スマートフォンの手帳型ケース】 価格ブラック5万5000円 パティーヌ染め7万7000円

カードが3枚入る仕切りと、お金が入れられる仕切りがついている。レザーはクロコダイルで、手縫い仕上げ。黒い方は新品で、茶色い方は葛野さんが1年ほど使い込んだモノ。「茶色い方はパティーヌという絵を描くようなイメージで何度も色を塗り重ねる染色技法で仕上げています。見てもわかるように、使うほどにツヤが増してきて、新しい表情が見えてくるんですよ」。

【スマートフォンカバー】 価格5万5000円

やはりクロコダイルを使用し、どちらもパティーヌで染めた。手前にカードが2枚入るように工夫されている。革小物に関しては、ほとんどクロコダイルを使っている。葛野さん自身が好きだというのもあるが、お客さんにも好きな人が多く、次第にこのレザーに特化していった。クロコダイルレザーにも色々種類やグレードがあって、それを選ぶことじたいも楽しんでいるそうだ。

【キーホルダー】 価格2万2000円

靴べらにもなるキーホルダー。これもクロコダイル使用のパティーヌ染め。染める手順は、この場合、クロコダイルの腹部の白い部分を使って、まずブラックで染め、それを一回流してしまう。すると溝にブラックが残り、そこからオレンジやブルーなどの色を入れる。さらにブラックやブラウンなどで、汚しのような感じで仕上げていく。なかなか手間のかかる作業なのだ。

【トリイジュエリー】 価格ネックレス5万3900円 リング4万1800円

シルバー925(スターリングシルバー)を使用。葛野さん曰く「まだうだつが上がっていない頃、虎ノ門の愛宕神社にある出世の石段にマラソンで通うようになったんですよ。通い出して2年目ぐらいでちょっとずつ会社の経営も良くなってきたときにふとインスピレーションが湧いて、そこの鳥居をモチーフにしてジュエリーを作り出したんです」。

【ウォッチブレス】 価格シルバー(プレーン)21万4500円 シルバー(ダイヤが入ったモチーフ付き)26万7900円〜48万600円前後 18金、プラチナの場合は時価(370〜600万円程度)

ロレックスのビンテージウォッチのそれぞれの形状に合わせて、バックルも含めてひとつ一つ手作りしている。手持ちの時計に合わせて作ってもらうオーダーだ。シルバー、18金、プラチナから選ぶことができる。着用時のごつごつ感を抑えるため、チェーンのアールにこだわった。「古いロレックスだとブレスレットが伸びてしまっているものもあって、個人的にはブレスレットを付け替えた方がいいんじゃないかと思うんです。重量もあって、付け心地がいいんですよね」と葛野さん。

左/【ワンストーンチェーンリング】(プラチナ、ダイヤ)価格275〜358万円 右/【オクタゴンシグネットリング】(18金、ダイヤ)価格110万円

まず左のワンストーンチェーンリング。一粒のダイヤをプラチナのチェーンリングにはめ込んでいる。武田宝石店で厳選されたダイヤを仕入れていて、グレードはVS1(Very Slightly Included 1)。サイズは1カラットだ。右がオクタゴンシグネットリング。「八角形は全方位からいい運気を招くといわれているんです。そのカタチを150粒のダイヤ(全部で1カラット)で装飾しました。傾けたとき光をサラサラと綺麗に流れるように反射させるためにはランクが揃っていないとダメなんです。だからダイヤのチョイスにはこだわっています」と葛野さん。さらに「同じ1カラットのダイヤでも、小さい粒はサラサラサラッと流れるような光の反射で、一粒だとキラッキラッと強い光を反射します。出かける場所だったり、今日どういう輝きを人に見せたいか、というので着け替えるといいんじゃないかと思います」。

【N-3Bレザージャケット】 価格66万円

MILスペック防水レザーを使用、アメリカ空軍の極寒地仕様フライトジャケットN-3Bをベースにしたレザージャケット。「中綿にシンサレート、裏地がボアでめちゃくちゃ暖かいです。袖口はリブ付きで、前も上まで締めてチンストラップを止めると、バイクに乗っていても一切風が入ってきません。背中には馬蹄型の切り替えを入れているんですが、これは幸せを呼び込むカタチです」。

【レーシングジャンパー】 価格39万6000円

バイク用のジャンパーで、こちらも袖口にはリブ付き。背中にはもちろんホースシュー。切り替えのカラーがポイントで、自分の乗っているバイクに合わせてカラーをオーダーできる。ブラックの部分はMILスペック防水レザー、カラー部分にはシボ付きの牛革を使用。

【レザーグローブ】 価格センサー付き4万9500万円 センサー無し3万3000円 センサー・ファスナー無し2万6400円

MILスペック防水レザーを使用したグローブ。ファスナーはイタリアのラッカー二。着用したままスマートフォンを操作できる電子糸を指先に縫い込んだ。納得のいく操作性の良さを確保するため、電子糸はかなり高密に縫い込んでいる。左が1年使用したモノで、右が新品。もともとは同じサイズだが、雨に濡れたりして縮んではいるが、凄く手に馴染んでいる。

動画では葛野さんのアトリエにお伺いした。こちらも是非ご覧ください!

SHINGOKUZUNO

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