菊池雅之のミリタリーレポート 行かなきゃ絶対後悔!? TSUIKI AIR AHOW 2024

「TSUIKI AIR AHOW 2024」の目玉は、築城基地所属のF-2による大迫力の飛行展示。その様子は“大暴れ”という言葉に置き換えられるほど。

去る2024年11月24日(日)、築城基地(福岡県)にて、「TSUIKI AIR AHOW 2024」が行われました。いわゆる築城基地航空祭です。海外では、航空祭の事をAIR AHOWと呼んでいるので、最近の航空自衛隊でも英語表記が使われることが増えてきました。

築城基地には、第8航空団が司令部を置いています。同部隊には第6飛行隊ならびに第8飛行隊の2個飛行隊が編成されており、両飛行隊ともF-2戦闘機を運用しています。
「TSUIKI AIR AHOW 2024」は、F-2が乱舞しました。それも編隊飛行、機動飛行など大迫力の課目が繰り広げられます。それも低い、近い、順光という、見るにも撮るにも最適で、はっきりいって、築城基地以上に満足できる場所はない、と言っても良いでしょう。それも24年度が特別なのではなく、いつものことなのです。

オープニングフライトは、4機+12機、トータル16機で行われた大編隊飛行。

また、アクセスが非常に良いのも特徴です。最寄りの築城駅から徒歩10分程度です。その築城駅へは、小倉や大分など巨大ターミナル駅から向かえます。通常築城駅には特急は止まらないのですが、航空祭当日は臨時停車します。こうしたことから地域にも愛されているイベントであることをうかがい知れます。

今年は航空自衛隊創設70周年、築城基地開設70周年の節目であり、それを記念して特別塗装機が用意されました。スペシャルマーキングを略して“スペマ”機とも呼ばれます。
まず、来場者はこのスペマ機の見学から航空祭がスタートしました。

特別塗装機もこれでもかと飛び回った。見せ方も上手い!

オープニングフライトを飾ったのは、4機+12機の大編隊でした。洋上で機体を揃え、傘型の隊形を組んで、そのまままっすぐ基地上空へと進入してきました。会場は、歓声と拍手、どよめきに包まれます。

ここから各種航空機がガンガンと飛んでいきます。ホームベースとするF-2は午前と午後の1回ずつ機動飛行を行い、加えて模擬空対地射爆撃、模擬近接航空支援も実施する大サービス。

離着陸の様子も間近で見られる。2機による離陸は迫力十分。

この他、空自以外の機体も飛行しました。その中で特筆すべきは、海自の多様機U-36Aです。この機体は海自艦艇の訓練を支援する変わった任務を行います。具体的には、護衛艦の対空射撃訓練にて、標的を曳航する任務があります。また、機体自体をミサイルに見立てて、護衛艦へと迫るような任務もあります。こうして、海自の訓練を陰で支えてきたのですが、2025年3月末をもって、引退することが決まりました。この築城基地航空祭が、ラストフライトの一般公開と言っても過言ではありません。

すべてのフライトをご紹介したところですが、文字数の制限もありますので、割愛させて頂きます。

築城基地開設70周年を記念し、垂直尾翼には70と書かれた。よく見ると、TSUIKIの“TS”の部分を数字の70に見立てている凝ったデザイン。

が、どうしても触れないわけにはいかない課目がありました。それが模擬近接航空支援です。英語でClose Air Supportと言い、CASと略します。その中身は、敵の戦車や装甲車を空爆し、味方部隊の行動を空から支援するというものです。島嶼防衛強化を図っている今、防衛省自衛隊では重要な戦術のひとつとなりました。

まもなく引退する海自が訓練支援に使う多用機U-36Aもゲストとして飛んだ。

今回は、その戦いの様相を展示するため、陸自から第4偵察戦闘大隊が参加しました。この部隊の主たる装備となるのが16式機動戦闘車です。なんとエプロン上で空包射撃も行いました。ここまでがっちりとした陸空自コラボの公開訓練は今回が初めてといっても良いでしょう。

気の早い話ですが、間違いなく2025年もド派手に実施する事でしょう。例年通りならば11月開催予定。今から準備(有給取得にカメラ機材購入!)を整えておきましょう!

第4偵察戦闘大隊の16式機動戦闘車や軽装甲機動車が訓練展示に参加。エプロンに駐機している展示機の間から空包射撃まで実施

  • 軍事フォトジャーナリスト.。1975年東京生まれ。日本写真芸術専門学校卒業。講談社フライデー編集部専属カメラマンを経て軍事フォトジャーナリストとなる。主として自衛隊をはじめとして各国軍を取材。また最近では危機管理をテーマに警察や海保、消防等の取材もこなす。夕刊フジ「最新国防ファイル」(産経新聞社)、EX大衆「自衛隊最前線レポート」(双葉社)等、新聞や雑誌に連載を持つなど数多くの記事を執筆。そのほか、「ビートたけしのTVタックル」「週刊安全保障」「国際政治ch」等、TV・ラジオ・ネット放送・イベントへの出演も行う。アニメ「東京マグニチュード8.0」「エヴァンゲリオン」等監修も行う。写真集「陸自男子」(コスミック出版)、著書「なぜ自衛隊だけが人を救えるのか」(潮書房光人新社)「試練と感動の遠洋航海」(かや書房) 「がんばれ女性自衛官」 (イカロス出版)、カレンダー「真・陸海空自衛隊」、他出版物も多数手がける。YouTubeにて「KIKU CHANNEL」を開設し、軍事情報を発信中
  • https://twitter.com/kimatype75

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