monoという名のタイムマシン 43年前に創刊、昭和58年3月のモノ・マガジン(9号)

2025年2月13日現在、最新号は953号。昭和から令和へと続く『モノ・マガジン』です。あと47号だせば、なんと1000号。目指せ1000号!!! ってなワケで、昭和57年に発行した創刊号から1号ずつ順繰りに見直していこうというこの企画。1000号が出るまでに終わってるのか、どうなんでしょうか。
ちなみに昭和58年3月の出来事はというと・・・、
◎西ドイツで「緑の党」が議会に初進出
です。

※画像はクリックすると拡大表示されます。

ハイ、これが9号の表紙です。前回も書きましたけど、7号までのモノ・マガジンはあんまり売れてなかったんですよ。あんまりと言うか、全然と言うか。売れなくて、売れなくて、偉い人たちが集まって続けるのか、もうやめるのか、なんていう会議をしてたほどなんです。それが前号の8号でどかーんとヒットして、この9号も大ヒット。モノ・マガジンとしての本領を発揮し始めた時期ってことですね。

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表紙を開いてすぐの広告は、シャープの8ビットパーソナルコンピュータ「MZ-700シリーズ」です。キャッチコピーは「あのMZが僕のデスクに大接近。」。商品ロゴの上には「上達に合わせて進化する、未来対応設計」とあります。このシリーズは、ディスプレイを切り離すことで、より手ごろな価格に。「おおいなる発展性を秘めて、驚異のコストパフォーマンス。」と下に書いてあります。じゃあディスプレイはどうすんのかというと、「◎ご家庭のカラーTVに接続するだけで、即、カラーディスプレイ。」だそうです。

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その次の見開きはスズキのライト&キュートなスクーター「蘭」。蘭だけに、ランちゃんこと、伊藤蘭さんがモデルです。キャンディーズの解散は1978年なので、すでに独り立ちされた時期ですね。キャッチコピーは「蘭、咲きました。」。その横に付いてる小さなコピーがイカしているので、全文引用します。「可愛くて、気だてが良くて。そうだ、頭だってキレなくちゃね。(改行)「美人」に対する注文はなかなかシビアです。(改行)ところでスズキから新発売のスクーター「蘭」、ご存知ですか。(改行)これがなんとスクーター美人。キビキビ走るしっかりものです。(改行)どうも新しい時代の美人には、フットワークの良さも必要なようでして。(改行)「蘭」で走ると街が振り向く、視線が集まる。さあ、あなたもきょうから〝スクーター美人〟。」。う〜ん、時代ですね。

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そして目次です。ところで、右ページのSEIKO「スピードマスター」は、2本ともジョルジェット・ジウジアーロというイアタリアを代表する工業デザイナーがデザインを手がけてます。ジウジアーロさんは自動車デザインを専門に行うデザイン会社「イタルデザイン」の創設者でもあります。

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で、今号も初っ端は「LINE・・UP」。20ページで17アイテムを紹介してます。そのラインナップは、「★男達に贈る本物のレッドウイングエンジニアブーツ」「★時間を使いこなせ!普及価格のセイコークロノグラフ」「★使い方いろいろ、場所もとらない省スペースマイコン」「★軽くて硬くてサビない!新素材チタングッズ大集合」「★3km先の暗闇をも切り裂いてしまうQビームスポット」「★泥水だっておいしく飲めてしまうスイス製浄水器!」「★デジタルだからこそ選びたい音の良いCDプレーヤー」「★スペースシャトルだって操縦できてしまうマニュアル」「★中免ライダー待望のV型4気筒搭載VF400F登場」「★飾りもののデコイにはもう飽きた。本物を創りたい」「★連続20時間の再生を可能にしたカセットプレーヤー」「★自分の好きな文字が組めるアルファベットネオン管」「★超ド級!なんと7500ピースのジクソーパズルが出た」「★ついにカメラが喋りだした。F55Voiceフォトラマ」「★欧米の警察官も使ってるケミカルメースは凄い威力だ」「★日本一の名人も真ッ青のコンピュータチェスマシーン」「★君もB767のパイロットに。フライトシミュレーター」。

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「OVERSEAS NEW-PRODUCTS NEWS」で今回気になったのは「ソーラーパワーによる冷蔵庫、ポーラープロダクト。」。「世界で初めてナサ航空宇宙局と国際保健協会との連合により生み出されたのが非常に信頼性の高いソーラーパワー式冷凍冷蔵庫である。デザインしたのは、アーサーD.サム氏。 医療設備に恵まれない過疎化地域の医療体制の補助役としてワクチン及び医薬品貯蔵のため開発された。きびしいテストにパスしたこのPR2は、周囲の湿度が摂氏50°に達しても水を製造できるとのこと。写真にある光電池板(PV)及びウィンドゼネレーターの効力によりパワーオンする。大きさは、5フィート立方体。普通の家庭用冷蔵庫に比べ1日の電力はなんと1/4以下ですむ。」。何事にも最初があるって感じですね。

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「WAKU WAKU WORLD ビックリするような珍発明」では「鉄缶コンクリートのビルだって!」という記事を。ニューメキシコ州タオスに事務所を構える建築家、ミカエル・レイノールド氏による珍発明、空缶8個を組み合わせた“空缶ブロック”の話です。「これをシンシナチー大学に持ち込んでテストの結果、空缶1個当りの垂直荷重1,375ポンド、プロック1個当り垂直荷重は4,500ポンドというデータをそろえ、空缶ブロックの実用新案特許をとっちまった」そうで、氏曰く「通常ブロックの市価は1個当り30セント、空缶プロックは1個につき5セントと6分の1、これに10セントを加えれば建築費もカバーできます。したがって、1平方フィート当りの建築コストは8ドルという超低コスト、しかも垂直荷重はブロック単位で4,500ポンドと建築基準の10倍でありまーす!」。参考までに「2階建て2LDKの家で必要とする空缶の数は、ざっと40,000個」だそうです。なんだかなぁ。

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「SUPER GOODS」は、ググッと目を引く「VECTOR 時速379.2kmの超絶的世界を創ったスーパー・ストリート・カー」が登場。アメリカのジェリー・ウィガート社が開発中のスーパーマシーン「VECTOR」についての報告です。「イタリアのフェラーリ、ランボルギーニ、マセラティのカムシン、イギリスのロータスといったスーパー・カー」にアメリカだって負けちゃいられねぇと、ウィガート氏は「ハイ・テクノロジーを尊重するアメリカ人の心を捉え、外車の驚異を一掃するウルトラ・スピードの精密マシーンで、快適な乗り心地を保証」という心意気で立ち上がったんです。この記事の段階では、「まだプロトタイプの域を脱していない」そうなんですが、わかる範囲での主要うデータを以下にあげときます。
★最大速度=237MPH(379.2km/h)。
★加速=0→60MPH(96km/h)4秒。
★燃料消費=15MPG(1リットルあたり約6km)。
★スタンディングから1/4マイル(0→400m)まで11秒内。
★価格=12万5千ドル(約3000万円)。

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そして、「特集 鞄」。この号がヒットしたのもこの特集のおかげ。「Part-1 男のカバン 気になりバッグ11アイテムズ」と「Part-2 鞄学入門 かばんは男のステータスシンボル」の2部構成で、27ページ。

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で、左側のページが裏表紙の裏。業界用語で「表3」って呼んでます。「サルーンの最高峰を極めたザ・ブリティッシュ・クルーザー JAGUAR」の広告ですね。キャッチコピーは「ジャガー、真似ることはたやすい。だが、超えることは容易ではない。」。

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そしてその裏の裏表紙。5代目サニーにしてサニー初のターボ搭載車、日産の「サニーターボ・ルプリです。「電撃ルプリ、GO! サニー・ターボ、いまフルチャージ。」というキャッチコピーの隣にバッチリ決めた松坂慶子さんと時任三郎さん。ジェームズ・コバーン扮する超人的な能力を持つエージェント、デレク・フリントが主人公の『電撃フリント』なんていう映画があったのを思い出しますね。『電撃フリントGO!GO作戦』(1966年)と、その続編『電撃フリント・アタック作戦』(1967年)なんてのがありました。みんな知ってますか?

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では、次回の昭和58年4月(10号)をお楽しみに!

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