ジャングル上空のパイロットとフライトジャケット[MA-1とL-2B]

第301給油航空団第91給油飛行隊のダン キムゼー軍曹が着用したL-2Bは空軍の服装規定を守って右胸に所属する航空団のパッチと、左胸に革のネームタグを付けている。ネームタグは下士官、兵用のシニアエアクルーバッジとSSGT(STAFF SERGEANT=2等軍曹)、USAFの文字が箔押しされているが、進級によるものかSSGTの文字が削り取られているのが面白い。ジャケットの裾に付けられた三角形のフラップはL-2シリーズにのみ見られるディテールで、コレクターにとってはMA-1との識別を容易にするポイントでもある。エアクルーやパイロットの仲間意識を強めたり、個性を表すのに欠かせないローカルメイドのベースボールキャップはその色や形に多くのバリエーションがあるが、第91給油飛行隊のパッチが付いた軍曹のキャップはつばに8本のステッチが入るなど手の込んだ作りである。

初めて100ミッションを達成したB-52クルーの一人、デレク デットジェン少佐の-2Bは右肩に100ミッション達成パッチ、右胸に第93爆撃航空団パッチが付けられ、ネームテープの上にはマスターナビゲーター章の姿がある。「成層圏の要塞」というニックネームを持つB-52はベトナムでの破壊力を存分に見せつけたが、1972年12月に行われたオペレーションラインバッカーⅡでは1日に6機が撃墜されるなどミッションにはかなりの危険が伴った。

初めて北ベトナムへの100ミッションを達成したエルドン“ジョー”カナディー大尉のL-2Bはポケットと裾のフラップ、そしてエポレットが省略されるという65年から69年にかけて見られる特徴を持っている。大尉は、RB-66C偵察機のEWO(ELECTRONIC WARFARE OFFICER=電子戦士官)で忙しい時には1日に3度も北ベトナムへの偵察ミッションをこなした。

第355戦術戦闘航空団第344戦術戦闘飛行隊のベンジャミン ボウソープ大尉は1966年1月15日にF-105サンダーチーフのパイロットとして初めて100ミッションを達成した。F-105のシルエットが刺繍された右肩のパッチは第334飛行隊の他にも使用例があり、赤や黄色、緑などのカラーバリエーションが存在する。大尉は後に転属したようで右胸には第18戦術戦闘航空団のパッチが付けられている。

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