オートサロンは今年も面白かった!

コミケ、アイドル、オートサロン

 カスタムカーの祭典、オートサロンが1月に開催された。1983年のエキサイティングカーショーのネーミングで産声をあげた同イベントは1987年に名称もオートサロンになり、今年で43年目。もはやクルマ好きの年明け恒例のイベントになっている。その人気っぷりも驚異的。集客人数もコミケかアイドルのコンサートかオートサロンかといった具合。ちなみに今年のオートサロンは開催中25万人以上というから驚きだ。

日本初公開モデルも

 オートサロンである以上、カスタムカーはほぼ必須の項目。もちろん公道走行明らかに不可物件やマフラーだけを強調しているモデルも同イベントならではだ。しかしながら。今はインポートメーカーのニューモデルお披露目の場としての側面もある。

 ドイツのフォルクスワーゲンは3年ぶりに構えたブースで新型のゴルフR、ゴルフRヴァリアントを日本初公開。ゴルフ8をベースにしたスペシャルモデルで、ベース車両のマイナーチェンジに合わせコチラもマイナーチェンジ。搭載されるパワーユニットは333PSへとパワーアップ。また最新の4WD技術である4MOTIONシステムはリアアクスルにおける左右のトルク配分を0-100%の間で調整可能なRパフォーマンス トルクベクタリングを備える。また従来は単一グレードだったが今回からはRアドバンスが追加された2グレードに。Rアドバンスは可変ダンピングシステムのアダプティブシャシーコントロールDCCやプレミアムオーディオシステムや専用のシートを装備するコスパの高い装備が標準化されている。

コレ、イースっすね!

 毎年オートサロンの目玉はいくつもあるけれど、市販に最も近そうなモデルがこのコンセプトカー。え? ホンダのプレリュードじゃねぇのかい、と思われるかも知れないがプレリュードは市販化がアナウンスされているのであえて触れずに市販に近い、否、市販して欲しいクルマがダイハツブースのミライースGRコンセプト。ミライースといえばエコカーの代名詞的なモデルだがコイツはちと違う。ターボ化された660ccエンジン、5MTと走り好きなユーザーに刺さるキーワードが散りばめられ、おまけに足回りは専用サスペンションとくればテンションが上がらないわけがない。なんでもユーザーの「4人乗りの軽で楽しいクルマがあったらイースっね」の声から誕生したそうだ。ぜひ市販化してほしい1台。

ヤリスぎ!? なMコンセプト

 続いてはトヨタブースからの1台。それはGRヤリスMコンセプト。ハイパフォーマンスモデルのGRヤリスを大胆にミッドシップ化したモデル。ネーミングの「M」はミッドシップの「M」という。その昔、フランスのルノーがFFのコンパクトハッチバック5(サンク)をラリーで勝つために無理やりミドっシップしたこともあったが、まさかトヨタがその手法を使い、さらに気合の入ったモデルに仕上げてきた。単純な筆者はエボリューションモデル、と聞くだけでアドレナリンが吹き出しそうになるが、同志もいらっしゃると思う。

 メカニズムの詳しい話は専門誌に譲るが、エンジンは新開発の2リッター直4ターボ。型式はG20E型。このパワーユニットはモータースポーツ用で600PS以上を目指して開発、という。なおこのパッケージのモデルで近年盛り上がりまくっているスーパー耐久に参戦予定で早ければ第5戦のオートポリスでデビューするという。それは楽しみだのう、と隠居の好々爺の如くいたのだが、なんと!! 市販化もされるかも知れないという。しかも早ければ2026年というから、トヨタの仕事っぷりには驚かされることばかり。

スポーツEV大戦勃発?

 スポーツ系EVも注目を集めていた。まずは日産ブースのR32型スカイラインGT-Rを大胆にEV化したモデル。その名もズバリR32EV。このクルマのスゴいところは旧型モデルを単にEVコンバートしただけではないところ。デジタルリマスターとメーカーは謳い、往年のR32の走りをオマージュ。前後に搭載されたモーターの合計出力は435PS。ミッションは残念ながらMTではないけれど、パドルシフトを装備。車内のスピーカーからは名機RB26DETTのメカニカルサウンドが聞こえる。このメカニカルサウンドも仕掛けがあり、パドルシフトでシフト操作をした時にはエンジン音の変化も再現されている。

 そして韓国自動車ブランドとしては初のカー・オブ・ザ・イヤー、10ベストかーに選出されたヒョンデからはイオニックN5の特別モデル、DK Editionが登場。発表されたのはレジェンドレーサー、ドリキンこと土屋圭一氏監修の1台。ヒョンデブランドで車名に「N」を冠するのは高性能モデルの証。このN5に専用パフォーマンスキットを組み込み公道とサーキットで十二分に走行を楽しめるようになっている。

今年はトラックも熱い!

 そしていすゞブースではサバゲーのベースにも使えそうなトラック、エルフミオ・クロスコンセプトが注目を集めていた。普通免許で運転可能な同車をベースに仕事に遊びにとことん使えるトラック。

 三菱では世界約150ケ国で快適な走りを実現してきた新型のピックアップトラック、トライトンをタレントのヒロミさんがプロデュース。高い悪路走破性を持つ同車を「街乗り」の雰囲気を醸し出すため、日常ユースを犠牲にしないギリギリまでローダウン。加えてエアロパーツでドレスアップし、アメリカンモータースポーツのイメージでマフラーはサイドに設置している。もちろんヒロミさんらしくリアにはボートやバイクなどを牽引できるようにヒッチメンバーも。

 クルマの持つ個性にカスタマイズする作り手の個性の足し算はより強力な個性になる。コレだからクルマは面白い! 来年のオートサロンも期待だ!

オートサロン

  • 自動車ライター。専門誌を経て明日をも知れぬフリーランスに転身。華麗な転身のはずが気がつけば加齢な転身で絶えず背水の陣な日々を送る。国内A級ライセンスや1級小型船舶操縦士と遊び以外にほぼ使わない資格保持者。

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