おいしいベトナム! VIETNAM ICON

米は水でできている。そんな言葉が浮かぶほど水に恵まれて、気候を味方につけたベトナムでは一年中、稲作が行なわれている。収穫された米の食べ方も多彩である。炊飯した飯はもとより砕いた米から、砕けてしまった米や米を粉にしてつくる麺や加工品にいたるまでベトナムの人びとの知恵と歴史が結晶している。

構成/ワールド・ムック編集部
写真/WPP Collection, Shutterstock.com

 食は土地と密接に結びついている。北から南まで長い海岸線を持っているベトナムは、海の幸、山の幸と食材の多彩さに恵まれている。フルーツはもとより、野菜、肉に魚類まで、市場ではそれぞれが新鮮さと彩りの鮮やかさを競い合うようにして文字通り山と積まれている。それらの鮮やかな色は、そっくりそのまま栄養と食味に直結しているかのようで、見ているだけで食欲が刺激される。

 ベトナムといえば、フォーが一番知られている。ハノイには「フォームオイ」があり、ホーチミン市には「フォーホア」がありと、それぞれ評判の名店がある。本来は、北のハノイの麺料理であり、牛肉のフォーが正統なのだと、生粋のハノイっ子ならいうかもしれない。今はベトナムのどこへいっても食べられるフォーだが、スープがどこまでも澄み切っていて、コクがある点は揺るがせにできない。

 土地ごとにおいしいと知られた麺料理は、まだまだある。「ブンボーフエ」は古都フエのスープ麺。牛と豚足をベースにしたスープに唐辛子を加えてピリ辛味にし、そこにレモングラスを加え、動物脂のくさみは一切なし。

 さらに南に下ると、ミトーを含む南部には「フーティウ」がある。このスープは白濁しており、バリエーションは多彩だ。これらのスープ麺と野菜炒め、豚肉、牛肉を使った煮物メニューのほとんどは、路上に出る屋台で食べられる。

 基本的に箸を手にして育ってきた人間なら、例外なく口に合うはずだ。素材の正体が目で見て分かれば、味の想像もつく。

 さらには空心菜の炒め物やチキンライスなど、香港、台湾、タイなど東南アジアで共通するメニューも多い。

ベトナム流ローカライズとは、
自分が納得できる流儀にすること。

 チキンライスはシンガポールが有名だが、これは東南アジアに共通するメニューの一つだ。

 ベトナムや台湾、香港、どの国へ行っても、米は鶏のスープで炊きあげている。皮付きの鶏肉はそぎ切りにして、上にのせるか、横に並べる。ベトナムではコムガーである。コムは米、ガーは鶏肉だ。米ではなく餅米にするとソイガーである。屋台でもレストランでも、味に優劣が出ないほど安定の一品だ。

 ベトナムの屋台メニューで、外せないのがもう一つ。バインミーである。フランスパンを使ったサンドイッチだ。パンに挟む手作りハムとレバーパテが味を決める。レタスに酢漬けの大根、パクチーも欠かせない。

 道ばたでプラスチック椅子に座ってコーヒーを頼むと、アルミのペコペコのストレーナーに粉と湯が出てくる。それを下のコップで受ける。このベトナム式待ち受けコーヒー抽出セットのカップに、湯をはった器をはかせている場合がある。コーヒーが冷めないようにとの、心遣いなのだ。アルミ製のコーヒーストレーナーは、手で握りつぶせそうなほどだ。これとそっくりの抽出セットを、地元の大手コーヒーチェーン店で目撃した。ただし、アルミ製ではなく、ピカピカに光るステンレス製で、受けるカップも巨大化していた。

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