美術館照明から生まれたミネベアミツミの家庭用スマートLED照明機器「SALIOT pico(サリオ ピコ)」。空間やモノを美しく照らす高演色Ra97のLEDを採用した、質のいい光が特長だが、実際に「サリオ ピコ」を使って花や小物を照らしてみると、確かにほどよい暖かみにあふれた自然な色合い。お部屋をいい感じにムーディ演出するのに最適だが、製品化の際には数々の苦労もあったのだという。
「当社は照明の電源システムなどを手掛けてきたので、IoTを含めた回路設計は得意ですが、ご家庭向けによりコンパクトにしたかったので、熱源の選定には悩みましたね。スタンドも含めて昨夏から開発をスタートしていますが、”ステイホーム”でじっくり考える時間が取れたのも功を奏しました。もっと明るくしたいとも思いましたが、電気を入れすぎると白熱ランプほどではないにせよ、LEDも回路を含めて意外に熱を持ってしまうのです。結局、1つのライトにLED1つを入れることにし、明るさは1Wから3Wで選べるようにしました」とは開発したミネベアミツミ・スマート製品事業部の府馬秀典さん。
コンパクトなスポットライトでありながらも、光を拡散させたり絞ったり自在に操れるのも”照明屋”ならではのこだわりだ。
「筐体にはアルミ削り出しの薄いシェードを採用していますが、そのシェードを伸ばすことで、より指向性の高いスポットライトにできます。反対にシェードを縮めれば光を拡散することが可能です」
そもそも指向性の強いLEDライト1灯で光を拡散できるのは意外だが、ここにミネベアミツミならではの秘策がある。
「LEDとシェードの間に一枚の集光レンズを挟んでいるのです。虫眼鏡の原理を利用したフレネルレンズ的な感じでしょうか。サリオに採用している独自の集光レンズはウチでしか作れません」とはミネベアミツミ・スマート製品事業部副事業部長の小峯康生さんだ。
同社は1990年代後半から液晶などのLEDバックライトを手掛け、そこで培った樹脂成型技術を応用し、光学設計したレンズとLEDの距離をモーター制御することで、光の照射域や角度を自動調整できる新型LED照明器具を開発してきた。これが、「サリオ ピコ」のベースになっている「サリオ」である。
そもそもミネベアミツミは機械の回転をスムーズにするベアリングの製造からスタートした会社で、2015年には同社が製造した外径1.5mmのボールベアリングが、世界最小の量産可能なスチール製ボールベアリングとして、ギネス世界記録™️に認定されている。「サリオ」に搭載されている独自の集光レンズはベアリングで培われた精密部品の製造技術を活かした賜物だが、一般家庭用の「サリオ ピコ」にもその技術が息づいている。
「スポットライトゆえに背景を暗くした間接照明的な使い方も可能です。部屋で気分転換したいときに、インテリアはそのままでも照明を変えるだけで部屋の雰囲気を手軽に変えることができますよね。光をより絞って指向性を高め、ミニチュアなど趣味のモノをスポットライト的に照らすのも良いと思います。実際にサリオ ピコを使ってみると、ライトをクルクルと回して微妙に角度を変えて、光の当り方によるモノの表情や質感の変化を眺めるのも楽しいですよ」(府馬さん)
ウイルス禍では医療現場の最前線への支援、敬意を表するために日本製不織布マスクのの生産・販売も展開。ニーズがあるものはすぐに作る。こんなフットワークの軽さも、新しい照明を生み出せた理由かもしれない。日本の新しいものづくりからまた1つ、遊びがいのあるモノが生まれた。
SALIOT pico(サリオ ピコ)
価格2万円~3万9800円
価格1万8900円~3万8700円
問ミネベアミツミ
【フリーダイヤル】0120-278-258
https://shop.minebeamitsumi.com/saliot/index.aspx