伝統的な「大寒仕込み」を行う「ひかり味噌󠄀」のこだわりとは?

2022.06.20

ここで「名匠」や「銀座豉特選 雅」などの特別な味噌󠄀ができるまでをご紹介します。工程はざっくり言ってしまうと①みそ玉づくり、②大寒仕込み、③天然醸造、④手詰めの4工程。

① みそ玉づくり 

大寒に仕込むため、その数日前に蒸し煮した大豆をつぶして手のひら大の玉状に丸めます。これは大豆が温かいうちに手作業で行います。数日かけて気温になじんだみそ玉の中でゆっくり乳酸発酵が進み、味噌󠄀の味が深まります。

② 大寒仕込み

大寒の日は、早朝から始動。工場の中にある、醸造の神を祀る京都の松尾神社に由来する祠(ほこら)で1年間の味噌󠄀づくりの豊穣と無事、そして美味しい味噌󠄀の仕上がりを祈願することから始まります。蒸し煮した大豆、米麹、塩を混ぜ、先に作ったみそ玉を砕きながら少しずつ加えてタンクに仕込みます。そして、タンク内に味噌󠄀をいれながら “味噌󠄀踏み”を行います。これは、タンク内の味噌が均一に発酵するように、足で踏みならして空気を抜く作業で、大寒仕込みのメインイベント。機械などは使わず、人の力で行っていきます。

③ 天然醸造

通常は仕込んだ味噌󠄀を適温に加熱して発酵を促します。微生物が活動しやすい環境を作るためです。しかし、大寒仕込みの味噌󠄀は自然の力に任せて、じっくり発酵させます。外気が暖かくなるころに天地返しを行い、味噌󠄀の中の微生物を空気に触れさせて発酵を促進させます。

④ 手詰め

一般的な味噌は機械で充填していますが、「名匠」や「銀座豉特選 雅」などの特別な味噌󠄀は職人が一つひとつ丁寧に手作業でパックに詰めます。これは、大寒仕込みの味噌の特徴である、麹の優しい甘みとふっくらとした糀の粒を楽しめるように、麹を潰さないように充填するため。素材から製造、包装まですべてにこだわり、昔ながらの製法を守っています。

味噌踏みを行った担当者の名前ラベルをタンクに貼り付けて管理をしています。

大寒仕込みと機械での味噌作り、「一番の違いは、いかに自然の力を使うかという点」と大鳥居さん。「大寒仕込みは、味噌を仕込む段階では、機械で混ぜるのではなく、足で踏みならして空気を抜きます。発酵についても、通常は仕込んだ味噌を適温に加温して、微生物が活動しやすい環境を作り発酵を促しますが、大寒仕込みの味噌は、自然の気候によってゆっくりと発酵熟成が進み、まろやかで深みのある味わいに変化していきます。また、弊社では、職人の技術力が味を左右する、年に一度の大寒仕込みを特別な味噌づくりと位置付け、年によって産地などをえらんでいるそうですが、今年は、大豆は北海道産、米麹は新潟県産コシヒカリ、塩は平窯製法の国産海塩とこだわり抜いた素材を使用しています」と、手間と時間だけでなく、材料も異なり、何にも代えがたい職人技によって作られているのです。

香りも味わいも異なります。

家庭で味噌󠄀作りを行うときは、すべて手作業が当たり前。ですが、これを味噌󠄀メーカーとしてある程度の量を作るのはかなり大変なこと。それでも「ひかり味噌󠄀」が大寒仕込みにこだわるのは「伝統的でサステナブルな大寒仕込みでは普段の味噌󠄀づくりの技術を発揮し、味噌󠄀とさらに真摯に向き合う機会としています」(大鳥居さん)。味噌󠄀メーカーだからこそ、こだわる必要があると言います。

「百貨店の味噌󠄀売り場で不動の人気を誇るじっくりと熟成させた『名匠』や、通常通年同じものを販売している味噌󠄀において「味噌󠄀の初物」を提案する『2021年味噌󠄀ヌーボー 初熟(はつなり)』など、手間暇かけた最高品質の天然醸造味噌󠄀をつくり上げ、特別な美味しさをお客様へお届けしています」。「味噌󠄀ヌーボー 初熟」は非加熱方式のフレッシュな味わいで、数量限定で昨年秋に販売。「今年も秋に数量限定で発売を予定しています」(大鳥居さん)。

熟成期間によっての色も変化します。

ひかり味噌󠄀がこだわり、作り続ける「大寒仕込み味噌󠄀」は、「名匠」「匠」「銀座豉特選  雅」「銀座豉特選華」「味噌󠄀ヌーボー 初熟」といった商品になって登場します。どれも通常の味噌󠄀に比べるとやや高額ですが、その理由は先に紹介した作り方にあります。

お湯を注ぐだけで、こだわり味噌󠄀の味噌󠄀汁が味わえます。

とはいえ、もう少し手軽に味わってみたいと思う人には、「屋のまかないみそ汁 蔵出し信州こうじみそ」(5袋入り350円)がおすすめ。これは三年以上の長期熟成味噌󠄀を贅沢に使っていて、即席味噌󠄀汁ながら、味噌󠄀の深みとコクが味わえます。また、いわゆる“出汁”ではなく、かつおぶしが入っているのも特徴。味噌󠄀、かつおぶし、具というシンプルな内容で、味噌󠄀の美味しさを存分に堪能できる即席味噌󠄀汁です。

味噌󠄀は地味な食材のように思えて、実はとても奥が深いもの。同じ材料を同じ分量で作っても仕込んだ時期や場所、人によって味わいが変わってくる、まさに生きた調味料です。美味しい和食をいただくと、日本人でよかったと思うことがありますが、美味しい味噌󠄀を使った味噌󠄀汁を自分で作ってみるのも日本人ならではの贅沢かもしれません。伝統的な製法で作られた特別な美味しさを自分の舌で体験してみてはいかがでしょうか。

公式HP:https://www.hikarimiso.co.jp/

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  • 好奇心旺で、食べることが大好き。新商品や限定品にめっぽう弱く、ジャンルを問わず常に情報を集めてはトライ。地方の食材や調味料も発掘も楽しんでいます。また、北欧、特にフィンランドが大好きで、現地の蚤の市などではヴィンテージハントにハマっています。サウナも好きで週1~2回のサ活中で、フィンランドでは念願のサウナから湖へのダイブを体験。日々、美味しいものを求めながら、北欧雑貨とムーミンに囲まれて暮らしています。

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